日本の秘められた可能性を感じる、地方創生のモデル都市「富山市」

来月、いよいよ北陸新幹線が開通する。東京と北陸地方とを結ぶ新たな動脈がもたらす経済効果に期待する人たちは多い。そんななか、先日、富山市を訪問した。

富山市の「団子と串」のまちづくり---富山市オフィシャルwebサイトより

富山市は、コンパクトシティ構想の下、「団子と串」というコンセプトでの都市構造形成を進めてきた。各市町村を「団子」、それを結ぶ鉄道やバスなどの公共交通を「串」に見立て、市内の中心部を環状型にライトレール(路面電車)などで結びながら商業施設などの都市機能を集中させ、そこから各方面に繋がる沿線の居住地域には補助金を出すなどの形で、高齢化社会にも耐えうる効率的な街づくりを目指してきた。これは、地方都市再生のモデルとして、ほかの地方都市にも大いに参考になる取り組みとなっている。

実際、富山市は、2008年7月に低炭素社会の実現に向けた先駆的な都市として「環境モデル都市」に選ばれている。さらには、2011年12月に、その構想が、地方都市の課題を解決する有望なモデルになりうると評価され、「環境未来都市」にも選定された。

また、2012年6月には、OECD(経済協力開発機構)によって、メルボルン、バンクーバー、パリ、ポートランドと並んで、コンパクトシティの先進モデル都市にも選出され、世界的にもその評価を得るに至っている。環水公園周辺など、神通川や運河の景観を生かして街並みも美しく整備されており、まるでドイツなどヨーロッパの街並みを思わせるような雰囲気もある。

また、日本海側の岩瀬地区に行くと、その昔、北前船といわれる北海道との交易船の拠点として廻船問屋が栄えた地という歴史を大切にした街づくりが行なわれている。通りに面した建物の表側を地域単位で改装して、江戸時代の古い街並みを再現し、そこにギャラリーや工房やレストランや酒蔵を作るなど、京都の町屋の再開発に似たような取り組みで趣のある一角を形成している。ここにアーティストやデザイナーなどが集まり、まさに地域ルネッサンスのような活動の拠点ともなっている。

リバーリゾート雅樂倶』内フレンチレストラン『Levo』---Levoのwebサイトより

市内にある『樂翠亭(らくすいてい)美術館』などは、日本家屋の佇まいや日本庭園の景観を活かした素晴らしいアートの空間となっている。また、春日温泉まで足を延ばすと、『リバーリトリート雅樂倶(がらく)』というリゾートホテルがあり、その中のLevoというフレンチレストランでは、地域の作家が作った食器や家具と見事に調和した谷口シェフの素晴らしい創作フレンチを堪能することもできる。

東京一極集中の結果、その反動で日本の地方が抱える課題は多いが、一方で、さまざまな地方都市に行くたびに、日本人も知らないような素晴らしい発見もたくさんあり、日本の秘められた可能性を感じずにはいられない。