『ハウス・オブ・カード』ほか、リアリズムにあふれる政治ドラマから学ぶべきこと
メキシコ大統領(右)と会談する『ハウス・オブ・カード』主演のケビン・スペイシー  photo Getty Images

今週は趣向を変えて、ドラマについて書こう。同じメディアでも、活字とテレビでは表現力がまったく異なる。政治を扱うとなると、なおさらだ。このところ空き時間を縫って、いくつかテレビドラマを見ていて、そう感じた。

飽きない『坂の上の雲』

その1つは、NHKが昨年秋から再放送している『坂の上の雲』だ。

これは2009年から11年にかけて年末に放送された。当時もDVDに保存したが、今回の再放送を機に録画して見直している。2度3度と見ていても、飽きない。日本制作で「ここまで出来たか」と思わせるほど完成度が高い。戦闘シーンのリアリティだけでなく、繊細な人間模様を美しい映像で描いている。

脇役の正岡子規は、病に倒れた子規を香川照之が激ヤセして演じた。迫真の演技を見ると、後に「半沢直樹」でワルの常務役を演じた香川がまるで別人のように見える。「半沢直樹」も大ヒットしたが、正直言って私はあまり好きになれなかった。過剰な演出がどうしても鼻についてしまうのだ。

子規の妹である正岡律を演じた菅野美穂もすばらしい。勝ち気なふるまいの一方で、主人公である本木雅弘演じる秋山真之に密かな思いを寄せる。「私はいつも(真之さんを)見送るだけ」。そんな短い台詞に、律のはかない思いがにじみ出ている。

明治の日本と世界がどういう位置に立っていたか。そして日本人が何を感じていたか。当時の歴史を簡単に振り返って、日本の選択を「おさらい」するうえでも役に立つ。

ドラマはエンタテインメント(娯楽)であると同時に、社会人には手ごろな「お勉強」の手段になる。どうして、こういうドラマがもっと出てこないのだろう。「制作費が巨額だから、そう簡単に作れない」というのは分かるが、カネをかけなくても勉強になるドラマは作れるのではないか。