【サウジアラビアの大富豪・アルワリード王子(2)】外国企業へのスポンサー事業から銀行・スーパーを次々と買収して
サウジアラビアのアルワリード王子---〔PHOTO〕gettyimages

公共事業で成功したアルワリード王子が次に手掛けたのは外国企業に対するスポンサー事業だった。

サウジアラビアで外国企業が事業活動をするためには、サウジアラビア人をスポンサーとし、官庁の認可などはスポンサーの名前で申請しなければならない。
外国企業にとっては、有力なスポンサーをつかまえることが重要であり、ここにビジネスチャンスを見出したのである。

サウド家の王族という立場を利用すれば、他のスポンサーよりも早く許認可をとりつけることができるにもかかわらず、王子は申請書類を出すために足しげく官庁に通い、熱意をもって仕事に取り組んだ。

また、きっちりと時間を守った。これは時間にルーズなサウジアラビアでは驚嘆すべきことだった。外国企業にとって、約束の時間に相手が来ないなどは普通のこと。居場所を突き止めることも難しい。
ところが、アルワリードは決められた時間を守り、しかも早朝のアポイントメントも厭わなかった。

こうした評判はすぐ外国企業の間に伝わり、多くの事業家が話の通じる相手だと、ビジネスを望むようになった。
結果、1983年にはアルワリードの資産の総額は四億五千万ドルになっていた。

しかし、事業家としての野望はこの程度でおさまるものではなかった。
公共事業とスポンサー業で蓄えた資産を元手に、いよいよ投資事業へと乗り出していくことになる。

当時のサウジアラビアでは、不動産や建設業への投資は成功していたが、そうした市場に引っ張り回される投資に甘んじるのではなく、自分が市場の方向を左右しなければならないと、アルワリードは考えた。
投資家としてのスタートから、かくも明確なビジョンを持っていたのである。

まずは銀行が経済のかなめだという基本にたちかえり、倒産寸前のユナイテッド・サウジ・コマーシャル銀行を買収、株式の7%を取得した。
自らの戦略について、アルワリードはこう語っている。

「USCB(ユナイテッド・サウジ・コマーシャル銀行)を買収したのは、それで実業界の中枢に入り込むことができるからだ。銀行にいると何でも見えてくるからね。建設、農業、製造、貿易、商業、何にでも関与することができるからだよ。だから何でも見える台風の目になったんだ―それだけでなく、実業界とのパイプ、プライベートバンキングやコーポレートバンキング、インベストメントバンキングの有力者とのパイプも作れるようになる。そのためには買収がすごく重要だったんだ」(『アラビアのバフェット』)