まさかこんなことで! 「寝たきり」の分岐点——ちょっとした「選択ミス」が、あなたと家族の人生を大きく変えていく

2015年02月28日(土) 週刊現代

週刊現代賢者の知恵

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脳卒中などの病気やケガ以外で寝たきりになる場合、最初のきっかけは「閉じこもり」だ。ペットを失って気力がなくなった、体力に自信がなくなって出歩かなくなった、など理由はさまざまだが、じつは、家族との同居で閉じこもりになるケースがかなり多い。前出の安村医師が言う。

「同居している家族が、心配だからといって外に出さなかったり、身の回りの世話をすべてやったりしてしまう。これは、家族による『高齢者の過小評価』が背景にあります。『これはできないだろう』と家族のほうが高齢者の能力を決めつけてしまっているケースは多いですが、年をとってもできることは多いんです。

過保護にすると、自分の役割を奪われた高齢者は意欲を失ってしまいます。その結果、実際の身体能力も下がっていき、最終的に寝たきりにしてしまうんです。私たちは『優しい嫁さん、寝たきりつくる』なんて言っています」

無理をかけさせないようにと気を利かせているつもりが、逆に悪い結果を引き起こしてしまう。高齢者に、ただ優しくすればいいというものではないから難しい。

「そもそも、一人暮らしなら、自宅に閉じこもっていては生活できません。一人暮らしができている人は、一人で生活できる能力があるということです。そのような人を無理に同居に持ち込まないほうがいい」(安村医師)

前出の金田氏も「怖いのは、孤独ではなく孤立」だと言う。

「地方に住んでいる親を子供夫婦が呼び寄せたりすることも多いでしょうが、高齢者にとって環境が変化することは、あまりよくありません。方言をしゃべるのが恥ずかしいといって人と話さなくなった方や、息子夫婦と同居したのに団欒の輪に入れず、うつ病になりかけた方もいらっしゃいました。

一人暮らしの『孤独』は、仕方のないこととして受け入れるしかありませんが、家族や地域から『孤立』してしまうと、寂しさはより深いものになります。それが閉じこもりの原因となっていきます」

まず気持ちが「寝たきり」に

寝たきりは、身体機能の低下が引き起こすと思われがちだが、じつはここに大きな誤解がある。本当の原因は「心」にあるのだ。

「最初に気持ちが『寝たきり』になって、そのあとに身体も寝たきりになっていってしまうのです。

気持ちを寝たきりにさせないためには、何かをする『目的』をつくらないといけません。寝てばかりいると足腰が弱るからといって、ただ『歩け』と言っても苦痛なだけ。たとえば競馬が趣味の人なら、競馬新聞を買いに行くことを散歩の目的にする、というようにごく身近なことで工夫すればいいんです」(前出・金田氏)

外出するのを嫌がっていた松本嘉代さん(仮名・77歳)は、こんなきっかけで散歩をするようになった。

担当した都内在住の女性介護士が言う。

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