雑誌
まさかこんなことで! 「寝たきり」の分岐点——ちょっとした「選択ミス」が、あなたと家族の人生を大きく変えていく
週刊現代 プロフィール

同様に、寝具を布団にするか、ベッドにするかという選択が、寝たきりにつながることもある。

「父親が、80歳に近づいた頃から夜中に頻繁にトイレに起きるようになったので、立ち上がりやすいように布団からベッドに替えたんです。それがきっかけか、足腰が弱くなって、最近ではあまり外へ出歩くことがなくなってしまいました」(神奈川県在住・主婦)

布団に慣れている人がベッドに替えることで寝たきりになることもある。

「布団の上げ下ろしをしなくなることで体力が衰えるということが一つ。もう一つは、ベッドに変わったことを忘れて、ベッドの上で立ち上がって歩き出して転落事故につながってしまうことです。

ずっと布団で寝ていた人で、すでに認知症が出ているなら、布団のままのほうがいいでしょう。認知症でなければ、布団から立ち上がることが難しくなったときが、ベッドに買い替えるタイミングと言えます」(前出・金田氏)

健康に気を遣ったばかりに

食事についても、こんな分岐点がある。「好きなように食べる」か「カロリーを摂りすぎないようにする」か。

都内に住む田代真理子さん(仮名)は、84歳になる母親に、おかゆばかり与えていた。

「一度、肺炎になって入院したとき、病院ではずっとおかゆを食べていたから、それを自宅でも続けていました。高齢になるとそこまでカロリーを消費することもないですし、消化のよいものを控えめにあげれたほうがいいと思っていたんです。そうしたら、母はどんどん身体が痩せていって、起き上がるのが難しくなってきてしまいました」

本人に食欲がないのならまだしも、家族の判断でカロリーを制限するべきではない。前出の新田医師が語る。

「生命活動を維持するために必要な最低限のエネルギーを『基礎代謝』と言いますが、これは20~30代でピークを迎え、その後は年齢で変わらないという報告があります。つまり、40代でも80代でもほとんど消費されるカロリーは変わらないということ。

高齢になって次第に痩せていくのは、カロリーが不足していることが多いのです。すると筋肉量も減少して、寝たきりにつながりかねません。

さらに、おかゆは食べやすいけれど噛む力も低下してしまうので、飲み込む力がある人は、若い頃と同じ食事をしたほうがいいのです」

また、年を取ると、自分の好きなものや口当たりの良いものばかりを好んで食べるようになるが、栄養のバランスばかりを考えて、食事の種類を無理に変える必要はない。「健康のために」「長生きのために」と几帳面になりすぎると、かえって健康を害してしまうことだってある。