経産省と東京電力の最悪のシナリオは「来年早々再値上げで、柏崎原発再稼働と原電救済」
遠くに見えるのが柏崎刈羽原発。来年の再稼動へのシナリオを経産省は描く  photo Getty Images

来年早々に福島第一原発事故後2度目となる電気料金の引き上げを行い、その痛みをもって原発の必要性を国民に痛感させて、柏崎刈羽原発の再稼働と日本原子力発電(原電)の救済を同時に果たす――。

こんな突拍子もないシナリオを、経済産業省と東京電力が構想していることが、新聞報道などをきっかけにして、おぼろげながら浮かび上がってきた。

未曾有の事故を起こし、まともに事故の後始末すらできない東電が原発を再稼働するなどもってのほかという識者たちの声を逆手にとって、保有原発の再稼働が絶望的な原電に柏崎刈羽の運転を請け負わせることにより、柏崎刈羽の再稼働と原電の救済を同時に果たそうと言うのが、この構想のミソだ。頭のいい連中が、“一石二鳥”を狙っていると断じてよいだろう。

しかし、国民から見れば、値上げと原発再稼働の両方を呑まされるばかりか、資本主義の大原則に則って破たん処理すべきだった東電の焼け太りを許容させられるという、とんでもないシナリオに他ならない。いったい水面下で何が行われようとしているのか、ベールの向こう側を探ってみた。

 日本原子力発電の存続と表裏一体

驚愕のシナリオの一端を浮き彫りにしたのは、1月17日付の新聞記事だ。『原電、東西で分社を検討 運転・廃炉で経営再建』という見出しで、日本経済新聞が報じたものである。原電は、電力会社や原子力関連メーカーが出資する国策民営会社である。

その記事によると、原電は新たに持ち株会社を設立し、傘下に原発の運転から廃炉まで手がける東西2つの事業会社をぶら下げる構想を練っている。そして、東会社には東日本に多い沸騰水型軽水炉(BWR)の技術者を、西会社には西日本に多い加圧水型軽水炉(PWR)の技術者を重点的に配置。それぞれが全国の電力会社から原発の運転や廃炉作業を請け負って新たな収入源とし、原電の存続を図るという。

原電が深刻な経営危機にあるのは事実である。本コラムでは、『待ったなしの日本原電の資金繰り! 安倍政権は不都合な真実を隠さず、今こそ原子力政策全体の改革を断行せよ』(2013年01月15日付)をはじめ、何度も警鐘を鳴らしてきた。

原電は、東海第2発電所が東日本大震災で深刻な被災をしたほか、主力の敦賀発電所2号機も活断層問題に揺れている。残りの敦賀1号機は老朽原発だ。つまり、原電が所有する3基の原発はそろって運転を停止せざるを得ない状況で、再開のめどもたっていない。

これまでは発電量がゼロでも、電力販売契約のある電力大手5社(東京、関西、中部、北陸、東北の5電力会社)が設備維持名目で年間1000億円強の「基本料」を支払ったり、金融機関からの借り入れに東電を除く4社が1000億円程度の債務保証を行ったりして、なんとか経営を支えてきた。が、それも限界だ。一部電力会社が今年度限りで支援を打ち切る構えをみせており、来年度以降、再び存続が危ぶまれる事態になっていた。

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