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佐藤義則(ソフトバンク投手コーチ)「勝てない投手を勝たせるのが、私の仕事」 二宮清純レポート ダルビッシュ有、田中将大を育てた「優勝請負人」が明かす

2015年02月22日(日) 週刊現代
週刊現代

教え子に理論を押しつけることはせず、納得するまでとことん付き合う。それが佐藤の流儀だ。松坂大輔ら大きな戦力が加わった今年のソフトバンクだが、一番の「補強」はこの男かもしれない。

ホークス入りの舞台裏

南国・宮崎は日の入りが遅い。生目の杜運動公園での秋季キャンプ、福岡ソフトバンクのユニホームに袖を通したばかりの佐藤義則は苦虫を噛み潰したような表情で、前方に視線を投げていた。

佐藤には野球の基本であるキャッチボールに対する意識が投手陣に希薄なように感じられたのだ。

「塁間より、ちょっと離れた程度の距離でキャッチボールを済ませていた者がいた。〝そんなんだったら、もうやんない方がいいぞ〟と言ってやりましたよ(苦笑)」

東北楽天の前監督・星野仙一をして、「日本一の投手コーチ」と言わしめた佐藤が、最も大切にする練習がキャッチボールである。

「たとえば、先輩の山田久志さんや村田兆治さん。遠投でのキャッチボールをものすごく大切にしていましたね。だから、オレも現役時代は遠投を重視していた。大きなフォームでしっかり投げないと、遠くに回転のいいボールはいかない。自分のフォームもつくれない。

最近のピッチャーだって、そうですよ。田中将大(ヤンキース)の遠投は素晴らしかった。彼は自分の調子が悪いと感じたら、率先して遠投をやっていた。

楽天では則本昂大の遠投も良かったね。彼のボールはアゲインストの風でも、いい回転のボールがビューンと伸びていた。それもレフトのポールからライトのポールくらいの長い距離を。

遠投できれいな回転のボールを放ろうとすれば、腕が振れないといけないし、足も使わなきゃいけない。だから、選手たちにはこうも言いました。〝キャッチボールを適当にやっているヤツは使わないぞ〟とね」

佐藤は阪神で3年、北海道日本ハムで2年、東北楽天で6年、一軍の投手コーチを務めた。すべてのチームをリーグ優勝に導いたことから、「優勝請負人」の異名をとる。

その佐藤を福岡に呼ぶため、水面下で尽力したのが、前ソフトバンク球団統括本部副本部長・小林至である。

「あれは3年前のことです。NHKの『プロフェッショナル』という番組に佐藤さんが出ていた。たまたま、それを王貞治球団会長も見ていた。〝佐藤さんにウチに来てもらいたいですね〟と言うと、王会長もうなずいていました」

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