グローバル人材に必要なのは、憧れと意志!? 高校生に身近なロールモデルをつなげる「Connect the Dots Japan」

高校生が世界で挑戦するきっかけを創る

この記事では一つ視点を変えて、日本人がオックスブリッジのような場所に挑んでいくきっかけがどこにありうるのかを、高校生との活動を事例に考える。

数年前からスーパーサイエンスハイスクール(SSH)スーパーグローバルハイスクール(SGH)などといった政府の様々な方策によって海外研修を行う高校が増えている。なかでも理系に力を入れるSSH指定校の中には研修先としてケンブリッジを訪れる学校も多い。2012年にケンブリッジ大学の在校生の有志で立ち上げたConnect the Dots Japan(以下CTD)という団体では、海外研修にやってきた高校生を対象に、ケンブリッジで学ぶ学生や若手の専門家と交流してもらうセッションを行っている。知の最先端のダイナミズムを感じてもらい、そのような場所に「そう遠くない未来の自分」がいるかもしれないことを知ってもらうのがねらいだ。

CTDは過去3年間で、全国30の高校とのセッションを実現してきた。まだまだ発展途上ではあるが、これまでの活動を通して現在の高校生がどのように「世界」というものを捉えているのかが少しずつ見えてきた。

高校生たちが海外に対して考えていること

「グローバル人材育成」の秘訣はもしかしたら自分たちの経験や悩みを赤裸々に話すことにあるのかもしれない。そう考えて私たちはCTDを始めた。実際の高校生は、海外のどんな点に興味があり、私たちにどんなことを期待するのか。まずは2014年にケンブリッジにて行った7回のセッション(合計:170人、男:女=45:55、文系:理系=39:61)の事前アンケートの結果を紹介する。

事前アンケートからわかるのは、生徒たちは頭の中でなんとなく世界に興味を持ちながら、そこで活躍するために必要な能力や心構えもぼんやりと理解しているということだ。英語ができるだけではだめと考えている生徒が非常に多く、コミュニケーション能力が最重要であり、積極性や行動力も必要であると感じている生徒が多いことには頼もしささえ感じる。

しかし一方で、「なぜ海外に出るという選択をしたのか?」という質問に代表されるように既定路線から外れることへのなんらかの不安な気持ちがあり、揺れる感情を抱えているのもまた事実のようだ。やる気はあって必要なことも頭では理解しているのに、それを妨げているなんとなく不安な気持ちがある。この不安に寄り添い、具体的にどうやったら最初の一歩を踏み出せるのかを自分たちの経験に基づく生の情報を提供しながら一緒に考える。CTDの重要な役目はそこにある。

夢も失敗も語る、そして高校生の「やりたい!」に火が付く

ではCTDは何をするのか。アンケート結果をもとに講師を選び、講師によるプレゼンテーションと交流会を行う。私たちは英語を教えるわけではないし、受験対策をするわけでもない。心がけているのはアンケートを通して徹底的に生徒のニーズに応えることだ。講師はアンケートに示される生徒の興味分野や性別などを考慮して選ぶ。理系・文系、企業での研究・大学での研究、また生徒の男女比と講師の男女比をなるべく近づけ、地方の高校であれば同郷の講師を探し出す。

また、講師には必ず事前アンケートに目を通してもらい、それを踏まえてプレゼンテーションを準備してもらう。優先するのは講師が話したいことよりも生徒が聞きたいことだ。自分の経験を振り返りながら良かったことも悪かったことも素直にさらけ出し、生徒が知りたいことに答えていく。プレゼンテーション後には「講師=教える⇒生徒=教えられる」という関係を超えて、生徒と講師にじっくりと語り合ってもらう。これ以外には種も仕掛けもない。