報道自粛に抗する声明
『週刊現代』官々愕々より

2月9日、報道関係者や学者らが記者会見を開き、「翼賛体制の構築に抗する言論人、報道人、表現者の声明」を発表した。インターネットなどを通じて名を連ねたのは、是枝裕和、坂本龍一、香山リカ、内田樹、吉田照美、福岡政行、森永卓郎、前泊博盛、青木理、今井一氏ら各界で活躍する人々。現職のNHKや民放のプロデューサー、ディレクターや新聞記者、私も名を連ねた。

声明は、「現政権を批判することを自粛する空気が国会議員、マスメディアから日本社会までをも支配しつつある」「『非常時』であることを理由に政権批判を自粛すべきだという理屈を認めてしまうなら、あらゆる『非常時』に政権批判ができなくなる」などと警鐘を鳴らしている。ネットで署名を呼びかけてから1週間で1200人の署名が集まり、その後も続々増加中だという。今日の状況に危機意識を抱いている人々がいかに多いのかということがわかる。

最近、政権批判をすると激しいバッシングが起きる。「バカ」「極左」という誹謗中傷にとどまらず、「死ね」「次はお前だ」など生命の危険を感じるような言葉も浴びせられる。先日、我が家に県警の巡査部長二人が訪れ、何か変わったことがあったら、小さなことでも遠慮なく通報してくださいと言って帰って行った。そこまで来ると背筋が寒くなる思いだ。人権侵害そのものだと言ってもよいだろう。

この間、大手テレビ局のプロデューサー、ディレクターや新聞社の記者からは、悩みの声が多く寄せられた。

「子どもが小さいので、先のことを考えるとどうしても名前を出す勇気が出ない。社内での立場が悪くなるから」という声が意外と多い。また、「賛同者として名を連ねたいが、社内の手続きが必要だ」という人に、「では、その手続きをとったらどうですか」と聞いたら、「そういう雰囲気ではないんです」という答え。いずれのケースも、上からの命令ではない。具体的な圧力でもない。ただの「雰囲気」に支配されている。

今日では、各社のトップが、これ見よがしに安倍晋三総理と会食し、中にはゴルフに興じて親密振りを競い合うという先進国では考えられない事態が生じている。ここまで露骨に経営トップが政権に擦り寄れば、役員クラスは出世のために経営トップの意向を忖度し始め、その雰囲気はすぐに全社に蔓延する。

そこで官邸や自民党から日常的に揚げ足取りのようなクレームが入ると、多くの記者はこれまでのように無視したり反論したりできず、その対応に追われることになる。彼らの日々の仕事は時間との勝負だ。そんな中で、過去の記事や放送のクレーム処理に追われていては仕事に大きな支障になるし精神的にもストレスになる。さらに、取材先の役所や政治家に情報をもらえなくなるかもしれないという恐怖感も頭をよぎる。

その結果、特に具体的な圧力などかかっていなくても、自然と政権に問題視されることを避ける行動をとるようになる。そして、それを繰り返していくうちに、こうした行動の問題点すら認識できない記者が増えつつある。

悩みを打ち明けてくる記者は、かなり良心的な方だというのが実情だ。彼らが自由に政権批判をできる環境を整えるためには、各社のトップを監視し、おかしな経営者には辞任を求めていくような国民運動も必要だろう。

今、先の声明文への賛同者有志の間で、マスコミ各社の会長や社長に、声明文を携えて面会に行こうという相談が行われている。是非、国民のみなさんも賛同の声を上げていただきたい。

『週刊現代』2015年2月28日号より

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