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「リーマン・ショック」再び それにつけてもお馬鹿なギリシャ、世界経済はまたグチャグチャに
全国民必読 日本経済「異変とこれから」【第5部】
緊縮反対で当選したギリシャの新首相チプラス氏〔PHOTO〕gettyimages

「もう、ガマンしたくない!」

新政権が発足し、ユーロ離脱が現実味を帯びてきた「欧州の劣等生」の状況を、エコノミストの湯元健治と白川浩道両氏が読み解く。

湯元 1月25日に行われたギリシャの総選挙で、緊縮財政に反対する野党が大勝しました。5年間もマイナス成長が続き、賃金が下落、失業率は平均で25%、若年層にいたっては50%を超えるという厳しい経済状況が続き、緊縮の痛みに耐えられなくなった国民が大きな変革を求めた結果ですね。

白川 新政権は「もう『トロイカ』とは話をしない」と言っていますね。トロイカとは、ギリシャの財政についてあれこれ注文をつけてきたIMF(国際通貨基金)、EU(欧州連合)、ECB(欧州中央銀行)のことです。

これまで財政健全化のスキームとか、おカネを借りているIMFへの利払いをどうするかといった話をしてきたのですが、そういう議論を放り出すというわけです。ギリシャ問題は、まったく新しい段階に入ったといえるでしょう。

湯元 ギリシャ国民にとってみれば、「年金カット、公務員削減、増税など長年にわたる緊縮財政で、ガマンの限界だ。とにかく我々の生活を何とかしてほしい」という切実な気持ちなんでしょう。それを代弁する新政権は、緊縮を前提とするEUからの金融支援の枠組みを根本からガラッと変えたいと思っている。

白川 各種報道では、ギリシャのユーロ離脱はない、それほど深刻な状況にはならない、というものが多いようですが、問題はもっと根深いと思います。

ギリシャをユーロ圏に残すべきかどうか、「出ていく!」「出ていけ!」といった夫婦喧嘩のような話が現実味をもって議論されるでしょう。最終的にはユーロの崩壊というテーマも出てくる。もはや単なる「危機」という段階は過ぎた。そもそもユーロという枠組みが正しかったのかどうかという歴史的な転換点にきてしまった。

湯元 本当に実現するかどうかは不透明ですが、「GDP連動国債」などという話も出てきた。これはGDPが成長していれば利子を返すけれど、ゼロ成長ならば利子はゼロ、マイナス成長なら実質債務削減というような、ギリシャにとっては都合がいい考え方です。

もっとも、ドイツなどは聞く耳を持たないですし、債務の返済期限が近づく6~7月までなかなか交渉はまとまらないでしょう。

白川 ギリシャはユーロの枠組みの中に残ることにうんざりしているのでしょう。「もう命令されるのはいやだ、自分たちで好き勝手やらせてほしい」と……。

湯元 ただ、ユーロから離脱していちばん困るのはギリシャ自身なんですけれどね。離脱するとギリシャの新しい通貨は間違いなく暴落する。ハイパーインフレになるでしょう。ドイツなどEU側もそのことは重々承知していて「離脱して困るのはそっちだろう」と突き放している。

EUサイドはギリシャ問題がスペインやポルトガルに波及する恐れがない限り、「どうぞご勝手に」というのが本音でしょう。

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