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いつまでも続くわけがない 不気味なこの「円安」、実はプロもみなビビッている
全国民必読 日本経済「異変とこれから」【第2部】
昨年末には7年ぶりの120円台を記録〔PHOTO〕gettyimages

急に円高に振れるかも…

異常事態とも言える円安進行の先には、落とし穴が—。為替のプロ、小口幸伸氏と山田勉氏が徹底討論。

小口 昨年12月には一時的に1ドル=120円台を突破し、現在でも117~118円台で推移している円相場ですが、この状況はあくまでもイレギュラーで、いつまでも続くとは思えません。円安基調が一転して、円高に転じる可能性は十分あるでしょう。

山田 そうですね。個人的には、日本経済にとっては、このまま円安がなだらかに進んでいくことが望ましいと考えています。円安基調のほうが、グローバル輸出企業の業績も拡大する。今、パナソニックや東芝、日産などの大手企業では、国内生産回帰の動きが出てきています。持続的な円安が進行するからこそ、日本企業は安心して帰ってこられる。そのシナリオが崩れると、日本企業は壊滅的な状況に追い込まれかねません。

小口 円安社会が良いか悪いかと言えば、私は行き過ぎた円安は、日本にとって良くないと考えています。たとえば円相場が130円台まで上がっても、中小企業の賃金が上がる可能性は低いですから。

そうなると、低所得の人の可処分所得は、どんどん減ってしまう。円が120円を超えようとしたとき、麻生太郎財務大臣も「さすがにちょっと行き過ぎた」とこぼしましたが、本音でしょう。

山田 いずれにせよ、このまま円安が進むかといえば、そうは問屋が卸さない。

小口 ひとことで表現するならば、今、円相場は、決定的な影響を及ぼす外的な要因に取り囲まれている状況です。

山田 小口さんは円高に振れる懸念材料として、何が挙げられると考えますか。

小口 最大の不安要素は、今年6月に予定されていたアメリカの利上げ時期がずれ込むのではないかということです。

一般に、FRB(米連邦準備制度理事会)が政策金利を上げる利上げを行えば、円安ドル高の方向に進む。逆にその利上げが行われないとなると、一気に円安基調にストップがかかることになる。

山田 同感です。現時点の為替も、120円台を目前にして足止めを食っている状態。これは、本当にアメリカが利上げをできるのか、その時期はいつなのかという点が不透明なためです。

小口 アメリカが利上げを行わないという予測は、昨年の第4四半期GDPがプラス2・6%と、5%の増加だった第3四半期から大きく減速したことがきっかけになっています。

山田 実際、昨年末のFOMC(米連邦公開市場委員会)で、FRB議長を務めるジャネット・イエレンが「金融政策はアメリカ国内の雇用とインフレ、それに国際金融情勢を見極めて判断する」と言っている。原油価格が下振れし、世界的にデフレ傾向が拡散している中で、FRBが本当に利上げに動けるのかという疑問は残ります。

小口 場合によっては、FRBが利上げは12月まで持ち越し、あるいは今年は行わないという判断を下すこともあり得るでしょう。もしも今年上半期が終わった時点でアメリカの景気が回復していない、インフレも起きていない、賃金も上がっていないとなれば、利上げに踏み切るのは現実的に難しい。

山田 そうなれば、これまでドルを買っていた人も、もう売ってしまおうという心理に傾いていく。それは、円安状態に急ブレーキがかかり、一転して円高に向かうことを意味します。

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