特集 ストップ!地方消滅 主体と舞台は自治体だ
求められる首長の指導力、分析力、企画力

このまま人口減少と東京一極集中が続けば地方が「消滅」するという危機感が高まっている。安倍晋三政権は年末の解散総選挙を前に、まち・ひと・しごと創生法(以下「創生法」)と改正地域再生法(以下「再生法」)の2法を成立させ、今後5年間にわたる国の「総合戦略」を閣議決定。破格の予算措置をし「地方創生」に向けて、石破茂地方創生担当相が陣頭指揮を執り、本格的な取り組みを始めた。しかし主体と舞台は地方自治体にある。政府の地域活性化プラットフォームワーキングチームのメンバーとして、地域再生モデルケースの公募自治体の評価に関わってきた関幸子氏に、一連の政策の意義と、地方の生の現状と取り組みについて報告してもらった。

本格的に始動した地方創生事業の陣頭指揮をとる石破茂地方創生担当相=東京都内のアジア調査会講演で1月16日

創生法は、2060年に1億人程度の人口を維持するという展望を示した「長期ビジョン」に基づき、人口減少と地域経済縮小の克服と東京一極集中を是正するための方針と基本理念、国や自治体の責務を定めた理念法である。

昨年末には15年から5年間の目標、基本的方向、具体的施策をまとめた「まち・ひと・しごと創生総合戦略」が閣議決定された。これまでの国の政策の反省に立ち、課題の解決を図るために、自立性、将来性、地域性、直接性、結果重視という5原則を掲げ、(1)地方の雇用創出(2)地方への人の流れ(3)若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる(4)時代にあった地域づくりと地域間連携――を基本目標に据え、全省庁挙げた総合支援メニューと予算措置がなされた。

合わせて自治体にも、地域の特性を踏まえた地方版人口ビジョンと総合戦略の策定が求められている。既にまち・ひと・しごと創生本部は、都道府県宛てに策定の通達を出した。地方版総合戦略の策定は義務ではないが、自由度が高いとされる創生戦略交付金として、地域消費喚起生活支援型2500億円、地域創生先行型交付金1700億円(いずれも14年度補正予算)等では、策定で上乗せもありほぼ必須ととらえていいだろう。

一方、再生法は、自治体が地域活性化の具体的な事業計画を策定し、国はそれを認定するものである。所管は内閣府地方創生推進室で、ワンストップで相談に応じるコンシェルジュ制度、中心市街地活性化計画、構造改革特区域計画等も同時発効できるワンパッケージ化、地域再生戦略交付金(15年度70億円)が準備された。

地域再生計画21事業を認定

再生法改正を視野に入れ政府はすでに昨年4月には、地域活性化モデルケースの募集を行い、筆者もメンバーである地域活性化プラットフォームワーキングチームによる評価を経て33の自治体が選定されている。地方都市型で10件、農山漁村・過疎地域等型で6件、地元地域資源活用型で5件、広域地域資源活用型と産業集積活用型でそれぞれ6件が選定された。

8月には、各省庁が現場に出向きコンサルティングを、10月からはワーキングチームによるフォローアップを行い、コンシェルジュ制度の予行演習を行ってきた。改正再生法に基づき1月に21自治体を認定した。このうち石巻市は、地域再生計画と中心市街地活性化計画の認定を同時に受ける最初の事例となる。国は認定を急ぎその地域再生計画を公表することで、後に続く地域の取り組みを促したい考えだ。

地方創生関連予算は14年度補正で4200億円、15年度では1兆3991億円と破格であり、内閣官房の創生本部と内閣府の地方創生推進室が一体的に動く執行体制が確立。「いざ出陣」となるわけだが、実際の予算は統合化された「大きな袋」に入っていない。政策が多岐に渡ることから個別支援メニューは各省庁配分で旧来制度と代わり映えしない。総合的、パッケージ化、ワンストップ、自由度が高いと大きく傘をかけたとはいえ、縦割りを打破できなかった復興庁の例もあり、今後とも創生本部の動きを慎重に見定める必要がある。

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