心身機能の回復へ効果が期待
資生堂と東京都健康長寿医療センターが実証実験[化粧]

「いきいき美容教室」の様子=資生堂提供

化粧によって高齢者の心身機能に変化がみられるのか。大手化粧品メーカー「資生堂」〈東京都〉が、東京都健康長寿医療センターと共同で、化粧が高齢者の心身機能への効果を測定する実証実験に取り組んでいる。2009年度から社会福祉士、介護福祉士養成の教育内容に化粧が追加されるなど、介護現場で「化粧」や「身だしなみ」から得られる心身への効果が期待されている。その結果として介護費用がどの程度削減できるかなどの検証を目指している。

実証実験はいわゆる健常高齢者の地域在住高齢者、医師の診察を受ける必要のある要医療高齢者、介護サービスを受けている要介護高齢者と、高齢期の心身機能の異なる状態ごとに行っている。グループで楽しみながら行う「いきいき美容教室」(月2回)と、乳液を使った毎日のスキンケアを実施の2パターンの化粧サービスを行い、同センターが心身の健康への変化を調査し、介護抑制効果について検証する。

化粧サービスの提供はすでに、14年7~9月に特別養護老人ホーム入所者、リハビリテーション病院入院患者を対象に行われ、延べ569人が参加した。各施設とも24回のいきいき美容教室を開催したが、最初は遠慮がちだった参加者たちも、次第に積極的な姿勢を見せるように変化。さらに施設のスタッフからは「入院中でも楽しみを提供することの重要性について考えるきっかけになった」などの声が寄せられており、高齢者本人だけでなく施設スタッフの意識の変化も見られるようになったという。

また、9月に開催した地域高齢者対象の説明会には定員100人に対し、約200人の応募があり、男性も約1割を占め、回復期リハビリテーション病院での医療スタッフ向けの説明会では、約120人が参加するなど化粧サービスへの関心の高さを示した。

10~12月には地域高齢者(約80人)、急性期病院通院患者(約80人)、回復期リハビリテーション病院入院患者(約70人)に対して化粧サービスを実施し、現在、データの分析が進められており、近く検証結果が公表される見込みだ。

検証にあたっている資生堂新規事業開発室の池山和幸さんは「化粧をすると気持ちが引き締まり、楽しい気分になったり、人に会うときに自信が持てたりするなどの気持ちの変化がさまざまな方に起こります。また、化粧は脳へ良い刺激を与えるだけでなく、手指や腕、身体を動かすため、とても良い運動にもなります」と説明する。医学博士で介護福祉士でもある池山さんは「今回の調査は、介護費用削減につながるエビデンスの取得が大きな目的です。超高齢社会を迎えた日本にとって、健康寿命を延ばすための効率的で質の高いサービスの提供体制の確立が急務となっています」と指摘する。