宇野亞喜良 第3回
「ぼくは中学生のころから親父のアシスタントとして室内装飾の仕事を手伝っていました」

撮影:立木義浩

第2回はこちらをご覧ください。

ヒノ 先日東京芸術劇場で拝見した「新宿版 千一夜物語」の話に戻りますが、ぼくは幕が変わるごとに生演奏が入るあの演出がとても好きです。

宇野 ありがとうございます。今回は初めてSHAKALABBITS(シャカラビッツ)というロックバンドに参加してもらいました。なかなか良かったでしょう?

ぼくがイラストレーターの仕事をはじめた頃はジャズ全盛期だったんだけど、ぼくはなぜかジャズが苦手でして、ロックの時代になったとき、ようやく自分も参加出来るなと思ったものです。あの芝居の背景となった1968年頃は本当はフォークソングの時代でしたが、ぼくはフォークも苦手でした。

シマジ わたしもフォークは貧乏臭くて好きになれませんでしたね。

宇野 シマジさんもそうでしたか。男と女が一緒に銭湯に行って石鹸がカタカタ鳴った、みたいな世界。「四畳半フォーク」とも呼ばれていましたね。

シマジ その情景は実感として手に取るようにわかるけど、あんまり思い出したくはないです。

立木 それはそうだろう。シングルモルトを浴びるように飲み、ケツの穴からヤニが染み出るほど葉巻を吸う毎日を送っているお前にとって、フォークの世界というのは消し去りたい過去なんだろうな。

宇野 ロックは英語で歌っているからなにを言っているのかわからない。もしかすると、銭湯に行く途中で石鹸がカタカタ鳴った、みたいな貧乏臭い内容なのかもしれないけど、歌詞カードを見ないと意味がわからないというのがちょうどよかったんです。