経済・財政 中国
中国の社会主義市場経済はもはや限界!? 海外旅行者が激増する春節の「異変」と、各種経済統計が示す「新常態」
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2014年の中国人海外旅行者が初めて1億人を突破

世界最大の民族大移動、中国の春節(旧正月)連休が始まった。今年の春節は遅く、2月19日である。

中国人は過去4000年にわたって、まるで強迫観念に取り憑かれたように、春節の日に一族郎党で集まって食事をするという習慣を守ってきた。普段は都会に出稼ぎに出ていようが、外国に留学していようが、春節には必ず生まれ故郷に戻ってくる。

ところがここ数年、「異変」が起きている。春節=ただの大型連休と捉え、海外旅行に出てしまう中国人が激増しているのだ。

一般の中国人にパスポートが発給されるようになったのは、1997年のことである。それより前に私が北京大学に留学していたころは、中国人学生たちの憧れの的であるアメリカ留学が決まると、初めてパスポートを申請することができた。留学する学生にパスポートが支給されると、寮の学生たちが集まってきて、茶色い背表紙のパスポートを物珍しげに手に取って眺めていたものだ。

私は留学を終えて帰国する時、北京大学の中国人学生たちが開いてくれた送別会の挨拶で、不用意な発言をしてしまった。「お世話になった皆さんには近くぜひ、日本に遊びに来てもらいたい」と述べたのだ。他意はなかったのだが、円卓は静まりかえってしまった。

私はその雰囲気を見て、ハッと気づいた。彼らは遊びに行こうにも、パスポートが取れない。もし取れたとしても、日本国は中国人に対して容易に観光ビザを発給しないから、日本旅行は不可能だったのだ。日本が中国人向けに個人旅行を解禁したのは、遥かに後年の2009年のことである。