ロシアと国際テロ組織の本格戦争が始まった

 3月29日7時57分(現地時間、日本時間同日13時57分)、モスクワの地下鉄ルビヤンカ駅で、その40分後、地下鉄のパルク・クリトゥーリ(文化公園)駅で、自爆テロが発生した。同日付ロシア非常事態省の発表では、38人が死亡、70人以上が負傷した。ロシア当局は、北コーカサスのテロ組織による犯行としている(4月2日までに死者は40人になる)。

 ロシアの官公庁、企業、学校の始業時間は8時30分から9時である。通勤、通学ラッシュの時間帯を狙ってこのテロは行われた。

 ルビヤンカには、FSB(連邦保安庁=秘密警察)本部がある。モスクワでももっとも警備が厳しい地域だ。もっとも自爆テロの場合、仮に現場でテロリストを発見しても、爆破を阻止するすることはできない。

 FSBの初動体制は決して悪くない。事件発生10分後の8時7分にボルトニコフFSB長官がメドベージェフ大統領に電話で報告を行った。その後も分刻みで、大統領に報告がなされた。

 本件について、FSB本部を狙ったテロではないかという見方がある。しかし、旧KGB(ソ連国家保安委員会、FSBの前身)分析局長のアナトリー・レオーノフはこの見方を否定する。

< FBS本部そばの『ルビヤンカ』駅で爆発が起きたことから、テロリストが特定の目標をもっていたと決めつけてはならない。それでは『パルク・クリトゥーリ』駅での爆発は何を目標にしているのか? (今回の事件には)別の意味があると思う。テロリストたちは地下鉄のもっとも混んでいる時間帯を選んだ、主要目的は、モスクワ市民と政権に心理的打撃を与えることだ。 > (3月30日付「イズベスチヤ」)

 レオーノフの指摘通り、本件は軍事施設や治安機関を標的にした攻撃ではなく、無辜の住民を対象としたテロだ。

 それでは、テロリストの目的は何なのだろうか。ロシアのマスメディアは、3月初めの掃討作戦で北コーカサスのイスラーム原理主義過激派の精神的支柱とされるチホミロフ指導者が殺害されたことへの報復が直接の動機のようだと報じる。