宇野亞喜良 第2回
「ぼくらの時代の人たちはみんな悪口を言い合うのが好きだよね」

撮影:立木義浩

第1回はこちらをご覧ください。

宇野 柴田先生と横尾ちゃんの最高傑作『うろつき夜太』の連載をシマジさんが担当したのは有名ですけど、あのなかに民家みたいなところで時代劇のような着物姿の役者が出てくる場面がありますよね。あの写真もタッチャンが撮ったんですか?

立木 いや、幸か不幸かそのころはまだシマジと遭遇していませんでした。出会っていたらやらされていたかもね。こいつはとにかく人使いが荒いから。

シマジ あれはわたしと仲が良かった社内カメラマンの狩野ちゃんに頼んだものなんです。絵柄を考えるための材料かなと思っていたら、そのままモノクロ写真に色を乗せて使っていましたね。

宇野 あれも本物の役者さんを使って撮影したんですか?

シマジ そうです。それが横尾さんの希望でしたから。わたしは担当編集者として、可能な限り横尾さんの要望に応えていたんです。

あの俳優は田村正和さんの弟の田村亮さんです。横尾さんは当時眠狂四郎を演じていた正和さん本人にやってもらいたいと言っていたんですが、さすがにそこまでは叶わず、弟の亮さんがうろつき夜太のモデルとして起用されたんです。

とにかく、生まれて初めて描く時代物だから、時代劇の現場を見てみたいというのが横尾さんの要求でした。あの民家風の建物はその頃成城にあった横尾さんのスタジオなんですよ。広い庭付きの一軒家でした。

ヒノ 着物や着付けはどうしたんですか?

シマジ 着物は週刊プレイボーイの先輩編集者の美濃部さんが、東映の衣装部からすべて借りてきてくれたんです。美濃部さんは週プレの前に週刊明星で仕事をしていましたから、芸能界に顔が利きました。田村亮さんも美濃部さんに連れてきてもらったんです。殺陣はシバレン先生自らがやってくれました。