中国
賈廷安上将失脚の衝撃! 江沢民派の「本丸」に手を突っ込んだ習近平の仁義なき権力闘争
江沢民元主席(左)と習近平総書記(右) 〔PHOTO〕gettyimages

「泣く子も黙る」中紀委に身柄を拘束された賈廷安上将

2月4日、ヨルダンに収監中だった爆破テロ犯のサジダ・リシャウィ死刑囚の死刑が執行された。「イスラム国」の捕虜となっていたヨルダン軍パイロットのムアーズ・カサースベ中尉が火あぶりにされたことを受けての「報復」だ。

後藤健二さんの処刑と絡んでいたため、日本中がこのニュースに注目したが、実は中国の人民解放軍も同様に、このニュースを注視していた。というのも、リシャウィ死刑囚が2005年11月9日、ヨルダンの首都アンマンのラディソンホテルで爆発テロを起こし、60名もの命を奪った時、うち3人は、中国人民解放軍の宿泊客だったからだ。人民解放軍総後勤部副局長の潘偉上校(大佐)、総政治部の張康平上校、中央軍事委員会弁公庁の孫靖波上校である。中国の国内メディアは一切報道していないが、香港の大公報が報じた。北京に確認したら、どうやら事実のようだ。

3人もの軍幹部が、一体アンマンまで行って何をやっていたのか? これは想像するしかないが、日本が集団的自衛権の議論をおこなうずっと前から、中国の人民解放軍が中東に「進出」していたのは事実だ。

だが、人民解放軍はいま、もっと別なニュースに震撼している。

「1月23日に賈廷安(かていあん)上将(軍のトップ34人)が、習近平総書記の指示で中紀委に身柄を拘束された」---こんな噂が、北京で広まったからだ。

中紀委とは、「泣く子も黙る」中国共産党中央規律検査委員会の略称だ。汚職幹部摘発の総本山である中紀委は、昨年だけで、696人もの幹部を「落馬」(失脚)させた。王岐山・党中央政治局教務委員(共産党序列6位)が書記を務め、司令塔となっている。

北京の政官界ウォッチャーたちは、毎日午後6時になると、中紀委のホームページを密かにチェックするのが、この頃の日課になっている。午後6時に、「本日の落馬者」が、中紀委のホームページ上に、ポンと載ってきたからだ。そこまで速報を求めない一般の北京っ子たちは、夜7時の中国中央電視台のメインニュース『新聞聯播』で、「本日の落馬者」を知る。そして、「習近平主席は今日もよくやった」と快哉を叫び、夕餉のツマミのように話題にするのだ。

だが、世間に多大な影響を与える可能性がある「超大物」に関しては、中紀委は発表を控える。そのため北京っ子たちは、日暮れ時に「胡同」(路地裏)で、周囲を憚りながらヒソヒソ話したり、もしくは「微信」(ウェイシン=中国版LINE)の「朋友圏」(ポンヨウチュア=仲間内の交信)でコッソリ伝え合ったりする(ただし昨年夏からは、微信にも当局の「ガサ入れ」が入るようになった)。

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