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民主党の次期大統領候補は誰か?
~エリザベス・ウォーレンはヒラリーに勝てる

次期大統領選の候補であるエリザベス・ウォーレン氏---〔PHOTO〕gettyimages

言葉で闘うことが唯一の才能

エリザベス・ウォーレンの回顧録は崩壊する家族の話から始まる。
父親が心臓発作を起こしたとき彼女は12歳だった。

父親の回復は遅れた。仕事に復帰できず家計は逼迫した。クルマは販売会社に回収された。職場のモンゴメリーウォード(※大手小売り業チェーン)に父親が復帰すると、会社はカーペット販売の仕事を取り上げ、芝刈り機を歩合制で売る仕事に回した。

ウォーレンは母親に、父親が前の仕事に戻れない理由を尋ねた。母親によれば、「会社は父から働きがいを奪い、今では、そのうちに死ぬだろうと考えているからだ」ということだった。

急激に悪化する家計は、家族の情緒面に当然の結果をもたらした。「その春、両親の口論がときどき聞こえた。母が大声を上げても父はめったに口を開かなかったから、口論とは言えないかも知れない。両親ともに酒量はどんどん増えていった。父が男としてやるべきことをやらず、家族の面倒を見ていないということを母は非難していると、私は知っていた」。

結局、母親はシアーズで働くことになり、父親は用務員の仕事を得てようやく家計は低いレベルで安定した。ウォーレンはこの話しをこう締めくくる。「母がそれで楽になったわけではなかった。母はかつては所有していたものをすべて取り返そうとして闘った」。

この回顧録のタイトルは『ファイティング・チャンス(勝機)』。「ファイト」や「ファイティング」という言葉はこの本の中に224回も出てくる。ハイスクール時代、ウォーレンは楽器演奏もスポーツもやらなかった。

「でもひとつだけ才能があった。闘うこと、こぶしではなく言葉で闘うことができた。ディベートチームでは最終アンカーを務めた」。自分のテニスの試合ぶりをこう書いている。「武器を手にしたらその一点に全力を集中した」。

後年、破産法を巡って判事と交わしたパネル・ディスカッションでの闘い(ファイト)を、愉快そうにこう述べる。

「判事はおそらく私よりも50キロは重いだろうという体付きだったが、その体をマイクに近づけて私を脇に押しやりはじめた。私はテーブルをテコがわりにしてぐいっとマイクに自分の体を寄せて反論し、判事とは肩と肩を押しつけ合うような具合だった。判事にちょっと目を向けると、嬉しいことに、彼の首周りの血管は脈打ち、顔は上気して汗ばんでいた。小さな壇上で、彼はひょっとして心臓発作を起こすのではという考えが、しばし私の頭をよぎった」。

大人になったウォーレンの最大の闘争は、貧乏人と弱者から貪欲に搾取する銀行を相手にして闘われてきた。ウォーレンの決定的な論点は以下のとおりだ。

すなわち、単にグローバリゼーションや技術的な変化だけが中間階級を脅かしているのではない。富裕層と権力者が盛んに行っている共同謀議が問題なのだ。競技は不正に仕組まれている。それへの正しい対応は単なる政策立案に留まらない。公憤と闘争こそが必要なのだ。

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