防衛・安全保障 テロ
後藤健二さん夫人へ「ISIL(いわゆるイスラム国)」側が送った
脅迫メールを、警察庁に知らせなかったのは誰か

ヨルダンで開かれた後藤健二さん、湯川遥菜さんの追悼集会        photo Getty Images

外務省と警察庁の情報共有問題を取り上げた前回コラムが、マスコミ各社の霞クラブ(外務省詰め記者クラブ)と平河クラブ(自民党詰め記者クラブ)で話題となったという。

官邸が警察への情報共有をストップした!?

であるならば、その続報を書くことにする。その前に事実関係の訂正ではないが、より正確を期するために筆者が記した表現の訂正を行っておきたい。

後藤健二さん夫人が1月29日に英国のフリージャーナリスト支援団体を通じて発表した声明の中にあった「後藤さんを拘束しているグループ(ISIL)から身代金を要求する電子メールが届いたのは12月2日」という件である。届いたのは12月3日であり、2日という記述は、脅迫メールが英グリニッジ標準時であったからだ。

さて、筆者が会った外務省幹部の説明によれば、その経緯は以下の通りだった。12月3日から日を置かずして後藤夫人は外務省に出向き、中東アフリカ局中東1課に相談している。相談を受けた同課事務官は、既に省内に邦人2人拘束事案のための対策室が設置されていたことから、直ちに上司に報告した。

その報告はその日のうちに課長→参事官(審議官)→局長→事務次官のラインに上げられた。筆者は当初、斎木昭隆外務事務次官(1976年入省)と上村司中東アフリカ局長(81年)が、当時首相官邸は11月18日衆院解散・12月14日投開票の総選挙の臨戦態勢下にあり、このような「小さな」事案を安倍晋三首相なり、菅義偉官房長官に報告すれば叱責を受けるのではないかと考えて官邸側に上げなかった可能性が高いとみた。萎縮である。

だが、事実は違った。外務省は遅くとも後藤夫人から相談を受けた翌日には官邸サイドに報告しているのだ。先述の外務省幹部は報告日時の特定は忌避したが、筆者は別ルートで2月4日の衆院予算委員会、5日の参院予算委員会で行われた集中審議のために外務省事務方が用意した「首相問答集」に外務省が本件について官邸に報告したとの記載があることを確認した。

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