歯止めが掛からない米価の下落
減収分補塡のナラシ対策拡充、飼料米拡大も検討 農水省[農業]

米価の低下傾向が続いている。2013年産米の民間在庫が多いことも一因とされるが、昨年夏ごろまで14年産米が豊作基調という見通しと、消費は伸びないなどという需給緩和傾向が報じられた影響なども大きい。結果としてスポット取引や先物取引の価格が低下し、各県の農協が早く売り切る方向に動いたことなども下落に拍車をかけている。農協から農家に仮払いされる概算金も下がったこともあり、農林水産省は緊急対策を進めている。

農水省によると、14年産の主食用米の水稲作付面積は、147・4万ヘクタールで、前年度に比べて4・8万ヘクタール減少すると見込んでいる。全国の10㌃当たりの収量は536キロで、全国の作況指数は101だ。北陸から北海道までは100を超える地域がほとんどだが、東海以西は日照不足などの天候不順のため平年(100)を下回る見込みで、主食用米の予想収穫量は788万トンと前年より30万トン減少する見込みという。

しかし、天候不順の影響で米粒が完全な形まで成長しない青死米などの発生も多いことから、17万~20万トン分の流通量が予想収穫量788万トンよりも減少して、推定値である15年6月の民間在庫量(230万トン)も減少する可能性があるという。一方で、消費量も過去の傾向から9万トン減るとみている。米価が下がった年は需要が増える傾向にはあるが、同省は最終的には需給が緩和しない可能性もあるとみている。

ところが、全国農業協同組合連合会(全農)や経済連が決めている概算金額が昨年秋に公表されると、全国に衝撃が走ることになった。概算金は全農が生産者から新米を引き取る際に支払われる60キロ当たりの金額で、販売の見通しが立った時点で、農家には概算金と経費などを差し引いて追加払いされる。その水準は全農の県本部・経済連が、消費動向などを勘案して銘柄ごとに独自に決めている。需給緩和傾向とみた各県の全農県本部や経済連は、概算金を軒並み下げる方向に動いたわけだ。

14年産米の産地別の銘柄米の概算金は、全銘柄が前年比1100~4100円下がった。新しい米の産地として注目される北海道の「ななつぼし」は1万円で2000円減となり、1万円を下回る銘柄米が続出し、農家の収入減少が深刻になっている。農家は年末に、概算金から農機具代などを支払うことから波紋を広がった。

概算金をもとに決められる全農県本部・経済連が卸し業者などに販売する際の相対取引基準価格も2000~3000円下がり、昨年秋の新米の店頭価格は一昨年秋より1~2割程度安くなったという。

14年産米の価格下落を受けて農水省は、昨年11月に緊急の支援策をまとめた。農家への支援策としては、農家の収入が過去の平均に比べて減った分を積立金で補う「収入減少影響緩和対策(ナラシ対策)」があるが、支払いは来年5~6月になるため、日本政策金融公庫の低利融資を無利子化し、資金繰りを支援することにした。最長で1年間、国が利子補給をする。さらにJAバンクなどの金融機関に対し、農家が返済猶予を求めてきた場合に柔軟に応じるよう要請した。また、米の生産調整(減反)に協力した農家に10㌃当たり年7500円を支払う「直接支払交付金」を年末までに支給した。

さらに農家と消費者が、米の生産について情報が不足していたことが、各県の農協などの売り急ぎを招いたとして、国からの情報提供を徹底するほか、産地と卸し業者の安定取引の拡大に向けた研究会を昨年末に立ち上げた。