15年度にステーション100カ所
整備補助費を今年度補正予算に前倒し 資源エネルギー庁[水素社会]

岩谷産業が開設した第1号の商用水素ステーションからFCVに水素を充填=兵庫県尼崎市で14年7月14日

水素を燃料に二酸化炭素(CO2)を出さない「究極のエコカー」と言われる燃料電池車(FCV)の普及への動きが活発化してきた。世界で初の市販FCV、トヨタ自動車の「MIRAI(ミライ)」が昨年暮れに発売された。15年度中の水素ステーション100カ所設置の目標を掲げる経済産業省資源エネルギー庁は、水素ステーションの整備補助を14年度補正予算に前倒しして組み入れ、早期の普及をサポートする。東京都など関係自治体の取り組みも加速している。

「ミライ」の発売から1カ月後の1月15日、第1号車が東京・永田町の首相官邸や総務、経済産業、国土交通各省に納車された。官邸での納車式で安倍晋三首相は「水素時代の幕開けだ」と語り、水素ステーションのセルフスタンド化を可能にする規制改革に取り組むことを強調した。

トヨタはこの日、1カ月間で受注が約1500台に達したことを発表。「15年末までに約400台」の販売目標をはるかに上回り、700台の年間生産能力を16年に2000台、17年に3000程度に引き上げる。ホンダも当初より遅れ気味になったが、16年3月にFCVを一般向けに発売することを発表、日産も17年度には投入するという。

さらにトヨタは1月5日、FCVに関する約5680件の特許の無償提供を発表して注目された。そのうち約70件は無期限で提供する水素ステーションに関するもの。まだまだ少ない水素ステーションの増設もFCVの普及には欠かせないとの判断も働いたようだ。

水素ステーションの設置には1カ所当たり4億~5億円かかるといわれ、1億円程度でできるというガソリンスタンドに比べはるかに高く、世界市場をリードするには公的補助の充実が大きなポイントとなる。「15年度中に首都圏、中部、関西、北部九州の4大都市圏で100カ所程度の水素ステーション確保」という目標達成のため資源エネルギー庁は、15年度当初予算の概算要求段階で110億円を計上していた整備補助費を急きょ前倒しして14年度補正予算に95億9000万円を組み入れた。同年度当初では1カ所当たり上限2億8000万円、整備費の2分の1としていた補助額もさらに手厚くして「上限額を1000万円程度上乗せすることも検討している」(同庁燃料電池推進室)という。また、人件費を含めたランニングコスト費の3分の2を初めて補助することになった。