偏差値だけではない! オックスブリッジ学部入学に求められる「資質」
「日本人、オックスブリッジに挑む」学部編

シリーズ「日本人、オックスブリッジに挑む」では、オックスブリッジの受験対策を紹介します。今回はその第5弾、学部編です。

3年生の時のFormal Dinnerにて、Tutorial仲間と一緒に。
河野遥
オックスフォード大学数学部数学科卒業

東京生まれ。渋谷区立上原小学校卒業。2006年6月に学習院中等科を中退し、同年9月にイギリスのマンチェスターのストーニーハースト高校に編入。2010年、オックスフォード大学入学(リンカーンカレッジ所属)。2013年、同大学卒業。数学部数学科にて流体力学や素粒子理論を主に学んだ。現在はLSEにて修士課程に在籍中。経営理念・組織論・戦略やファイナンスなどを学んでいる。

はじめに

0.5%。

この数字はオックスブリッジの学部全体における日本人の割合である。オックスブリッジでは毎年約1万7000人の受験者の中から、3000人から4000人の新しい学部生が選ばれる。その内の約20%が英国外出身であり、さらに他国と比べても日本人の割合は少ない。絶対数で言うと、毎年学部入学をする日本人は1人から5人程度だ。私は15歳の時に渡英し、4年間イギリスの寮制高校で過ごした後、オックスフォード大学リンカーンカレッジに入学した。高校の間は日本人と出会う機会がほとんどなかった私は、入学時に久しぶりに日本人に会えることを密かに楽しみにしていた。しかし実際は、日本人の学部生はほとんどおらず、私が2010年に入学した時は全大学で10名ほどだった(もっとも日本人同士の交流自体も多くなかったため実際はもっといたのかもしれない)。

私はオックスフォード在学中に度々、「日本の高校生には自分と同じような体験をしてもらいたい」と感じた。それだけオックスフォード大学は私に素敵なもの与えてくれた。しかし、私自身も痛感したことだが、学部受験は決して簡単なものではない。恐らく、世界中の大学の中でも最も受験対策が困難な大学かもしれない。それは偏差値が高いからといったような理由からではなく、こうすれば合格するといういわゆる必勝法を見出すのが難しいからである。私がオックスフォードで出会った友人に受験エピソードを聞いたが、やはり皆それぞれ違う。オックスブリッジに絶対に合格する方法はまずない。それは多くの"Smart"と呼ばれてきた世界中の学生たちがことごとく落とされていることが何よりもの証拠である。つまり、オックスブリッジには単純に学問に対する情熱や頭の良さのみならず、同じくらい重要視している「資質」があるのだ。これから少しばかり学部受験の全体像と、その受験プロセスの各段階で生徒に求められている資質について触れていこう。主な学部受験の流れは以下の通り。

1.Year13(日本における高校3年)の10月、the Universities and College Admissions Service(UCAS)という大学受験センターに願書を提出
2.10月から11月の間に、大学から直接書類選考結果と面接の招待の通知が届く(科目によっては筆記試験有)
3.12月、大学のカレッジにてTutorと面接
4.合否の通知が3月中旬までに届く


順を追って、詳しく説明していこう。

1.願書

まずYear 13という英国の高校最終学年の10月に願書を提出し、書類選考に通れば次のステップの面接に進める。必要とされる書類は、①英語力を証明する書類、②成績証明書、③志望動機書、そして④推薦書だ。願書提出の際には、まずオックスフォードとケンブリッジのいずれかを選ばなければならない。両方を受験することは出来ないシステムなのだ。志望大学が決まれば次に希望のカレッジを決める。オックスブリッジがカレッジ制度を取り入れているということについてはこれまでも紹介してきたが 、学部の入試はカレッジごとに執り行われるため、願書はカレッジに提出する。とはいえ、カレッジ間の連携や大学としての組織的なサポートもしっかりしているので、行きたいカレッジが決まっていない場合はOpen Applicationとして大学側に受験カレッジの判断を委ねることもできる。大学側は第一志望だけでなく、最低一つ他のカレッジにも受験生の書類を審査させている。つまり、第一志望のカレッジがダメでも、他のカレッジから合格をもらえる可能性があるのだ。ちなみに、その二つ目のカレッジは完全にランダムかつ面接当日までわからないので、大学を訪れた時の楽しみでもある。

Turl Street, Oxford. 左手にリンカーンカレッジのエントランス。奥の塔がリンカーンカレッジの図書館。