【沿線革命018】 「渋谷駅の出発を23秒早く!」他、 井の頭線の価値を高める鉄道イノベーション阿部等(交通コンサルタント)

2015年02月05日(木)
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渋谷駅の2線で1時間に36本もさばける?

現行、渋谷は2線のみで1時間29本の列車を折り返している。平均2分5秒間隔で、36本にするには平均1分40秒間隔に短縮しなければいけない。

改札口を背に左側が1番線、右側が2番線である。1番線からの出発と2番線への到着は同時にできるが、2番線からの出発と1番線への到着は同時にできない。

1番線への到着の何秒後(場合によっては前)に2番線から出発できるかが、路線全体のパフォーマンスを決める。

まずは、現状http://youtu.be/EQAEJA7r8Mg)を見てみよう。

動画の開始から2秒に、1番線への到着列車の最後尾が2番線からの出発ルートとの交差部を抜け、8秒に2番線から出発の信号が開通し、21秒にドアが閉まり始め、24秒にドアが閉まり、31秒に出発している。全列車が全く同じ時間経過ではないが、おおむね同様である。

8秒の時点で出発できるのに、その23秒後に出発している。2番線からの出発列車を信号開通と同時に出発させれば、ロスタイムを23秒短縮できる。

列車の出発時の取扱い

それができないのは、信号が開通した後に発車ベルを鳴らし、ドア閉め操作をする内規としているからである。これは京王電鉄に限らず、私の知る限り、全ての鉄道事業者とも同様だ。

かつて、信号機を見誤って出発したことによる衝突事故が繰り返され、特に1962(昭和37)年5月に発生した三河島事故は死者160人の大惨事となった。そういった苦い経験に基づき、誤出発の防止対策として、信号開通前は出発準備しないことが鉄道業界の常識となっている。

2番線から出発する信号の開通タイミングに合わせて発車ベルを鳴らし、ドアを閉め、信号開通と同時に出発させれば、ロスタイムをゼロとできる。車掌の前に、1番線への到着列車の走行位置に応じたカウントダウンタイマーを設ければよい。

誤って信号開通より前に出発しても、ATS(自動列車停止装置)が動作し重大事故に至ることはない。

鉄道の安全「第一」は当然だが、安全「唯一」ではいけない

鉄道の安全の歴史は事故の歴史だ。痛ましい事故を教訓に、それを繰り返さないための対策が練られ、事故を減らし安全を高めてきた。鉄道が安全「第一」でなければいけないのは当然だが、効率性・利便性・経済性を度外視した安全「唯一」ではいけない。

信号機誤認による誤出発をなくすため、ATSが完備する以前に、信号開通前は出発準備しないと定められた。ATSが完備された後は、万が一に誤出発しても強制的に停止するのだから、そのルールを改めても問題ないのに改められていない。

関係者を悪く言うつもりはない。駅員が寝坊して初電に2人が乗り遅れるだけで全国ニュースになるほど、鉄道の過ちに対する世間の目は厳しい。取扱い誤りによる衝突事故など起こしたら大変なことになる。一度決めたルールを改めることを躊躇する気持ちはよく分かる。

それでもあえて、社会全体のために申上げたい。鉄道は、安全「唯一」から脱却しようと。

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