政治政策
アベノミクス「改革」の象徴になったJA全中の「監査権」廃止のゆくえ。
農業の改革は急務である photo Getty Images

政府による農協改革が正念場を迎える。政府は近く農協法で定められているJA全中(全国農業協同組合中央会)による地域農協の監査権限などを撤廃することなどを柱とする農協法改正案をまとめる。与党協議を経て閣議決定し、開幕中の通常国会に提出、成立させる方針だ。

 譲らない安倍首相、JA全中は敗色濃厚

JA全中は監査権限を失うことに強く反発しており、自民党の農林族の中にも監査権限の維持を主張する声がある。しかし、安倍晋三首相は頑として譲らない姿勢を貫いており、JA全中の敗色が濃厚になってきた。

JA全中の万歳章会長と自民党の林芳正前農相、吉川貴盛前副農相、農水省幹部らが1日、東京都内のホテルで会談した。その様子を伝えた主要メディアは、席上、農水省幹部が検討状況としてJA全中の廃止案を示したと報じた。

JA全中の関係者に衝撃が走ったのは言うまでもない。たしかに昨年、農協改革案が浮上した初期段階ではJA全中の廃止案が政府内に浮上していた。だが、その後の自民党内の議論を経て、監査権限が焦点になり、JA全中自体は一般社団法人に転換して残す案が有力になっていた。農協改革に徹底抗戦の構えを崩さないJA全中に、官邸側が開き直った結果とも見えた。

林氏は自民党の農政の責任者である農林水産戦略調査会長。吉川氏は菅義偉官房長官に近いことで知られる。一方の万歳氏は官邸の農協改革にまったく歩み寄る姿勢を見せないでいた。

「監査の廃止が各JAの現場では農業所得の増大にどういった関連があるのか、理解しかねるとの声が多くあがっています」

1月15日の定例会見でJA全中の万歳会長は、こう噛み付いた。安倍首相がアベノミクスで打ち出した農業所得の倍増という計画が、なぜJA全中の監査権はく奪につながるのか分からない、というのである。

そのうえで、上場株式会社の監査では、「投資判断としての財務諸表の適正性」を証明することが求められているので、公認会計士による外部監査が必要かもしれないが、協同組合であるJAの監査は「JA事業を継続利用するためのJAの健全性の維持」であって、それには外部監査は不要だというのである。

JAの健全性を保つには監査と農協への指導が一体になった監査こそが有効だとしてJA全中が監査権限を握る正当性を主張している。身内によるチェックの方が外の目を入れるよりも機能する、そう言いたいのだろう。

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