【内閣府 その6】 沖縄の法人税・消費税を免除し、ヒト・モノ・情報が結集する東アジアのハブを目指せ!
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113の島々に140万人の人々が住む沖縄。蒼い海と空に恵まれるこの楽園には多くの人々が訪れる。沖縄への年間観光客数は650万人を超え、過去最高を更新した。

観光だけではない。北に韓国、南に台湾やフィリピン、東に本州、西に中国を配する地理的環境はヒトやモノが流れ行き交うアジアのハブとしての潜在的な強みを持つ。

少子高齢社会の日本では例外的に、沖縄県の出生率がズバ抜けて高い。沖縄の人口は現在142万人だが、2025年まで増え続けると予想される。

平均寿命も全国トップクラスだ。まさに日本にとって、最も大きな財産のひとつが、沖縄であるといえよう。

政府は、毎年3,000億円以上を沖縄振興予算として使っている。1972年の沖縄返還から、政府は基地負担への代償ともいえる沖縄開発政策で重点予算配分を続けながらも公共事業の積み重ねに終始したため、沖縄経済は基地と公共事業に依存する経済と言われてきた。

今世紀に入って特区政策による沖縄優遇も追加され、1999年からの経済特区、2002年からの金融業務特区と情報通信産業(IT)特区などでさまざまな優遇策を講じている。IT特区では、雇用創出効果が出ているが、そのほかの特区は、ほぼ失敗に終わっている。

とびきり恵まれた自然環境を持つ沖縄は、地政学上、経済的にも安全保障的にも日本の大きな財産だ。この沖縄に惜しみない投資をおこない、沖縄における経済、技術、文化、教育など、それぞれの分野の質を高めていき、ヒト、モノ、情報が集まるグローバルな「300万人自治体」まで育てるビジョンを描いてみたい。

これまで政府の沖縄政策は、毎年3,000億円以上の予算を惜しみなく投資してはいたが、やり方が間違っていた。公共事業に偏重し、ヒトへの投資を怠ってきた。特区も中途半端で日本本土や世界からヒト、モノ、カネを集めるには十分ではなかったのだ。沖縄の潜在的な強みを最大限発揮させ、300万人自治体に育てるための、特区による大胆な差別化、明確なヒトへの投資、ヒトを惹きつける飛び抜けた計画について論じてみたい。

1. 法人税ゼロ・消費税ゼロの大胆でわかりやすい優遇政策で徹底的な成長を!

ヒトを集めるのに最適なのが、特区による優遇政策だ。特区となればカネが沖縄に入り、チエとノウハウが入り、ヒトが入ってくる。

実は沖縄は1990年代から、特区としての比較的古い歴史を持つ。しかし、実際にはヒト、モノ、カネが沖縄に集まっているとは言い難い。最初の特区は、1999年だった。アジアと競争できる輸出加工拠点にすることを目指し、日本初の「経済特区」として沖縄県うるま市に開かれた「特別自由貿易地域」がそれだ。しかし、この特区は、開設から10年以上経っても96区画ある分譲地に7社しか入っていないなど閑散としている。

この特区では、進出企業は法人税の課税対象になる所得から35%、その他にもさまざまな国税、地方税の減免が用意された。さらに輸入した原材料を加工して再輸出する場合の関税や消費税の免除を受ける保税制度も適用された。しかし、企業もヒトも集まらなかった。

沖縄の特区は、このほか「金融業務特区」と「情報通信産業(IT)特区」(ともに2002年開始)がある。しかし、名護市の「金融特区」で、特区の法人税控除の適用を受けたのは1社のみだ。

IT特区ではやや成果も上がっている。沖縄に進出したIT関連企業は、特区開始時の2002年の52社から2009年には202社に増え、この間に1万3000人以上の雇用を生んだ。コールセンター、ソフトウェア開発、データセンター運営など、首都圏をはじめとする国内企業のIT拠点になっている。しかしこれは、沖縄、東京、香港、シンガポールなどを結ぶ大容量の海底ケーブルが開通した理由が大きいだろう。

これまでの特区が精彩を欠いたのは、他地域との差別化が中途半端だったからだ。本土と比べて低賃金だと言っても、アジアの他国よりは競争力が劣る。沖縄にはもっと大胆な特区が必要だ。

安倍政権で進めようとしている国家戦略特区を見ても、

・世界水準の観光リゾート地を整備し、ダイビング、空手などの地域の強みを活かした観光ビジネスを振興するとともに、沖縄科学技術大学院大学を中心とした国際的なイノベーション拠点の形成を図ることにより、新たなビジネスモデルを創出し、 外国人観光客などの飛躍的な増大を図る

・外国人観光客の入国の容易化(ビザ要件の緩和)

・入管手続の迅速化(民間委託など)

・外国人ダイバーの受入れ(潜水士試験の外国語対応)

・海外からの高度人材の受入れ(ビザ要件の緩和)

などとなっており、これらの政策は重要ではあるが、インパクトがきわめて弱い。中途半端な優遇策では人や投資は集まらないことは、過去の特区の失敗から学ぶべきだ。

沖縄の国家戦略特区では、「法人税ゼロ、消費税ゼロ」という、大胆でわかりやすい優遇政策でほかとの差別化を図るべきだ。これは何も無謀な政策ではない。現在の沖縄における法人税(国税)収入は415億円、消費税(国税)収入は409億円に過ぎない。

毎年3,000億円を超える沖縄振興予算を使っている現状から考えれば、無駄なハコモノ投資をやめて、その予算を活用すれば問題ないはずだ。大胆な差別化で国内、アジアから企業、カネ、ヒトを沖縄に集めるのだ。

なお、本来、沖縄への人口流入の拡大には所得税ゼロが最も効果があるものと考えられるが、所得税に関しては個人の居住実態の把握が困難であることが考えられるため、除外した。

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