【舛添都知事日記】2020年東京五輪を契機に文化でも東京を世界一に!
〔PHOTO〕gettyimages

東京の舵取りの参考になる江戸時代の暮らし

幕末明治維新の政治史を研究してきたので、江戸時代以降の歴史については、特に興味があるし、自分で文献を集めたりもしている。とりわけ、江戸の庶民の暮らしについて、いろんな資料を漁るのが楽しみである。そのような趣味を持つ江戸ファンにとって、テレビで水戸黄門シリーズがなくなったり、時代劇が少なくなったりと、最近のテレビ界は淋しいかぎりである。

都知事になってから、現在の東京の舵取りをしていると、江戸時代の人々の暮らしぶりが大いに参考になるし、比較の対象となる。たとえば、飲み水は、どうしていたのか。この問いに対しては、すぐに玉川上水のことが頭に浮かぶであろうが、庶民の家にまできれいな水を供給した智恵には驚かされる。詳細は、文京区本郷にある東京都水道歴史館(入館無料)に行ってみると、よくわかる。当時の文献、木製の水道管などの貴重な資料が展示してある。

また、ゴミや糞尿の処理はどうだったか。江戸の庶民は、使えるものは何でも使うという精神で、見事なリサイクル社会を形成していた。隅田川の上流で不要物・ゴミを満載した舟を離すと、皆が再利用のために拾っていくので、下流に着くまでに、ほとんどすべてのものがなくなっていた。古着の再利用も盛んで、何度も着つくした着物は、最後は浅草紙の材料になった。江戸で最も数の多かった店は古着屋であったとされている。

糞尿も肥料として活用したので、それが農地の生産性を上げるのに役立ったし、糞尿は高値で取引された。同じ時期のイギリスでは、糞尿をテームズ川や通りに捨てたので、伝染病の蔓延など多くの問題が生じた。ウェストミンスターでは、ひどい臭気で窓が開けられず、議会が閉会になることもあったという。

先週、ある美術館の展覧会で浮世絵を鑑賞したが、まさに感嘆の声を上げざるをえなかった。たまたま、歌麿や写楽を世に出した蔦屋重三郎の資料を読んでいたので、蔦重のようなプロデューサーの智恵にも感服した。さらには、絵師のみならず、彫師など、江戸の浮世絵を完成させた人々の努力と美的センスには、頭が下がる。浮世絵は、今の貨幣価値に直すと、当時は1枚500円くらいで買えたそうで、それが包装紙として活用され、海外に流出して、セザンヌ、モネ、マネ、ゴッホ、ルノワールなどの印象派に大きな影響を与えたことは周知の事実である。

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