企業・経営

ホンダは、ソニーになってしまうのか。本田宗一郎の精神を失った経営は負のスパイラルに

発売日が2度も遅れたレジェンドで巻き返しなるか      photo Getty Images

北米市場の伸びや円安効果によって過去最高益を更新する見込みが多い日本の自動車メーカー。その中で、唯一、1社のみ蚊帳の外に置かれた会社がある。それはホンダだ。かつてのソニーと同様にブランドイメージの高さから日本の製造業をけん引してきたが、商品・技術戦略の失敗によって、経営の実態はボロボロになりつつある。

 国内と中国で販売が落ち込み

1月30日、ホンダは大手自動車メーカーのトップを切って2015年3月期の第3四半期決算を発表した。その中で公表した1年間を通じての15年3月期決算通期の業績見通しを下方修正した。昨年10月29日に発表した中間決算発表時点での見通しとの比較では、売上高は8・9%増の12兆9000億円となるものの、本業のもうけを示す営業利益は4%減の7200億円、当期純利益は5・1%減の5450億円となる。

増収減益の理由を簡潔に言えば、円安効果で増えた売上高を、品質問題に起因する販売減で食ってしまったことにある。後述するが、この品質問題は、伊東孝紳社長の経営の舵取りの失敗による「人災」的な側面もある。

減益要因は3つある。まずは、国内と中国での販売の落ち込みが挙げられる。中でも目も当てられないのが国内販売の減少だ。

中間決算時点では四輪車の国内販売を期初見通しの103万台から93万台に下方修正したが、今回はさらに10万台下方修正して83万台にまで落ちる。国内の主力商品である小型車フィット・ハイブリッドが短期間に立て続けに5回もリコールを起こした品質問題の影響により、販売店への来客者数が減少して、全体的な販売減につながった。

次は、その国内販売の減少によって、工場の稼働状況が落ちたことだ。ホンダでは、国内で生産したものを国内で売る「地産地消型」のもの造りを推進し、輸出を減らしてきたため、国内販売が落ちれば、工場の稼働率が落ちる。

たとえば、狭山工場では、オデッセイの販売不振から昨年11月には毎週金曜日に生産ラインが止まった。その代替え出勤で今年1月の土曜日の出勤が決まっていたが、販売が回復しないため、社員を出社させたものの、工場は止まったままだった。自動車メーカーは高額の設備投資をして人件費も高い。こうした固定費が高い中で、稼働率が落ちて、働きたくても働けない社員に給料を払えば一気に収益性が落ちる構図だ。

3つめが、タカタのエアバッグの事故の影響で品質関連対策費を計上したため、それが500億円の減益要因となった。

さらに懸案事項は、ホンダが「ドル箱」としてきた北米事業の陰りだ。北米での四輪車の販売見通しも1万台下方修正して180万台とした。北米市場は堅調に推移し、14年は暦年で5%近く伸びたのに、市場全体の伸びにホンダは後れを取り始めている。

2014年4月から同12月までの9カ月間の北米での売上高は前年同期比6・7%増の4兆8693億円だが、営業利益は24%減の1885億円。これまでホンダ車はブランドイメージの高さから値引きしなくても売れたのが、商品力の低下から値引きしなければ売れなくなったため、収益性が落ちた。中間決算時点では、北米地区の販売台数と営業利益で、北米で伸び悩んできた日産自動車にすら負けてしまったほどだ。

こうしたホンダのボロボロの経営実態は株式市場にも反映され、1月30日のホンダの株価は3581円と、格下のスズキ(3756円)やスバルブランドの富士重工業(4296)にも負ける有様。数年前まではトヨタの株価とも拮抗していたが、トヨタが7645円なのに対し、その半値にも至っていない。

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