テロ
「イスラム国」人質事件発生を、警察庁はビデオ映像公開まで知らなかったのではないか?

安倍首相の中東歴訪確定は11月28日 photo Getty Images

どうしても解せないこと

日本人人質・殺害脅迫事件でどうしても解せないことがある。外務省(斎木昭隆事務次官・1976年入省)と警察庁(金高雅仁長官・78年入庁)の“情報共有問題”への疑問である。

1月16日、警察庁の米田壯長官(76年)が勇退し、金高次長が昇格する人事が閣議で了承され、23日付で発令された。今回の警察庁人事は、初の女性刑事局捜査1課長として田中俊恵前岩手県警本部長(89年)が起用されたことがメディアで話題となった。

だが問題視すべきは、なぜこの時期に大幅な人事異動を実施したのかである。一例を挙げる。27日付で井上一志警備局外事情報部国際テロリズム対策課長(88年)が福井県警本部長に転出したことだ。井上氏は内閣情報調査室国内部主幹も歴任した情報のプロである。

人質になっているフリージャーナリストの後藤健二さんの妻が1月29日午後10時過ぎ、英国のフリージャーナリスト支援団体を通じて英文で発表した声明の中に「12月2日、健二を拘束しているグループから一通の電子メールを受け取った」とあるように、昨年12月初めの段階で日本政府が、後藤さんが湯川遥菜さん同様にイスラム国(ISIL)に拘束されただけではなく留守宅に身代金の要求があったことを承知していたのである。

実は、同声明発表直後、筆者はロンドンの英BBCから電話取材を受けた。それはともかく、普通であれば後藤夫人は所轄の警察に相談に行く。8月中旬には湯川さんと見られる男性がISILに拘束され、尋問を受けている映像が公開されていただけに、所轄警察署から報告を受けた警察庁は「刑事事件」として密かに情報収集及び対応に奔走していたはずだ。

ところが、筆者が聞き及んだ話しによると、ヨルダンで幼少時を過ごしたことがある帰国子女の同夫人は警察ではなく外務省に相談したというのである。恐らく、メールを受け取った12月2日からそれほど日をおかずに出向いたはずだ。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら