石油と身代金で大儲け、ではなかった?
「イスラム国」の経済統制に市民の不満が噴出

フィナンシャル・タイムズ(UK)より

2015年02月22日(日)
〔PHOTO〕gettyimages

欧州がかつて引いた国境を消滅させ、イラクの3分の1とシリアの4分の1を支配した「イスラム国」。彼らはシリア東部で一日あたり4万バレルの石油を得ている。支配下の公務員は交戦相手であるイラク・シリアの各政府から給料を受け取るよう命じられ、そこから50%の税金を引かれている。さらに、掌握した発電所からの送電と引き替えに、シリアのアサド政権から発電所員の給料やメンテナンス費用を引き出している。こうした狡猾な集金行為に人質の身代金などを合わせると、「イスラム国」は一日約100万ドル(約1億2000万円)の収入を得ているようだ。

この資金を背景に、「イスラム国」は独自の通貨を発行すると表明したが、まだ実現していない。一方で市民の経済生活は厳しく統制され、パンから帝王切開に至るまで、あらゆる商品やサービスの価格に上限が設定された。だがそれでは商売にならず、規制は形骸化している。物資不足のなか、シリア東部の病院に勤務する男性は言う。

フィナンシャル・タイムズ(UK)より

「彼らは市場調査もコスト計算もできない。だから冗談のような安値になってしまう。病院は監視の目を盗んで、規定より高い金額を請求していますが、患者は理解してくれています」

シリアで暮らす市民の生活費は毎月115ドル程度だ。これは外国人傭兵が受け取る給与の5分の1程度にすぎない。市民のなかには、当初こそ「イスラム国」のイデオロギーに共鳴したが、今は否定的な感情を抱く者が少なくない。40歳のあるイラク人男性は、こうぼやく。

「イランとの戦争が始まって以来、あらゆる理不尽に耐えてきた。でも今ほどひどい状況は経験したことがない」

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