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国民的大論争にこの国のいまが見えてくる「異物混入」社会を考える 何が許せないのか、どうして許せないのか
マクドナルドほどの大企業にとっても致命傷になる〔PHOTO〕gettyimages

昔なら、笑い話で済んだかもしれない。しかし、いまでは一つのクレームで莫大な量の食べ物が廃棄されてしまう。「勿体ない」と頭では分かっていても、止められない—日本人は変わってしまったのか。

たった1匹で会社が傾く

「従業員はいつも通り出勤しています。仕事ですか?工場の中を掃除したり、回収した焼きそばを分別して廃棄する作業をしたりしていますね。ニュースでは工場の機械を入れ替えると言っていましたが、その工事はまだ始まっていません。

生産再開がいつになるのかも、私たちには教えられていません。従業員の間では『いつになったら元に戻るんだろう』と不安の声が上がっています。でも、上司に聞いても何も教えてもらえないんです」

群馬県伊勢崎市郊外。この地で創業86年を迎える老舗、まるか食品の赤堀工場に勤める30代の女性は、不安げにこう話す。

工場には時折大型トラックが入ってきて、荷台から段ボール箱を降ろしている。屋外の別の一角では、白い作業服を着た数人の従業員が、カップ焼きそばの〓とかやくを分別し、人がひとり入れそうなほどの大きなゴミ箱へ次々と入れていた。おそらくは、返品されてきた何の問題もない商品を処分しているのだろう。

食品の「異物混入」問題が、このところ世間を賑わせている。すべての発端となったのは、昨年12月2日、ある大学生がツイッターに投稿した一言だった。

〈ぺヤングからゴキブリ出てきた〉

この発言と同時に彼が掲載した写真がある。インスタント焼きそばの麺から、確かにゴキブリの黒い腹と脚のようなものが飛び出して、頭の側は麺の中に埋もれているようにも見える写真だ。