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恐怖の逆走が始まる この「円安」は突然、終わる ——「円安シフト」はもう遅い、地獄を見ることに

黒田総裁も難題に直面している〔PHOTO〕gettyimages

いつまでも続くはずがない

円高株安という見たくもない光景が日本市場に立ち現れたのは、1月半ばのことだった。

きっかけを作ったのはスイス。スイスの中央銀行は通貨スイスフランがユーロに対して高くならないように為替市場への無制限介入という政策を行っていたが、これを突如終了すると発表。大混乱に陥った投資家が株などのリスク資産を売る一方で、安全資産である円や日本国債への資産逃避に雪崩を打ったのである。

メディアはこの事態を「有事の円買い」と解説。スイス・ショックの余波は時の経過とともにおさまり、為替は再び円安基調に戻っていくと説明している。

しかし、そんな「安全報道」を鵜呑みにしていられない事態が水面下で進行していることはあまり知られていない。

FXプライム・チーフストラテジストの高野やすのり氏が言う。

「スイス・ショックを契機に、投資家の間で中央銀行をどこまで信用していいものかという疑心暗鬼が広まっています。そしてスイスと同じようなことが起きた場合、最も大きな影響が出てくるのは日本だと見られている。スイスは先進国の中で最も極端な金融政策をとっていましたが、そのスイスに次いで過激な政策に舵を切っているのが日本銀行だからです」

クレディ・スイス証券チーフエコノミストの白川浩道氏も言う。

「日本銀行が異次元緩和を始めてまもなく3年目に突入しますが、大量に国債を買い続けるこの政策は限界が近づいてきました。スイスの例を見てもわかるように、無理のある異常な政策はどこかでやめなければいけない時が来るのです。そして中央銀行が降りる決断をした際には、副作用は避けられない。このほどスイス中銀がギブアップすると、スイスフランは対ユーロで一気に3割ほど急騰しました。日本に置き換えれば、1ドル=120円から85円になったわけで、日本でも同様の事態になればこれほどの急激な円高シフトが起きかねないといえます」

マーケットは「スイスの次」に日本を連想し始めた。その先にあるのは円安の終了、つまりは、円高への恐怖の逆走だ。

恐ろしいことに、そんな悲劇はある日突然幕を開ける可能性が高い。

今回のスイスのケースを見ても、中央銀行幹部が無制限介入という政策こそが金融政策の中心だと言ったその数日後に前言撤回。政策終了が発表されて、急激な通貨暴騰が発生した。

翻って日本を見れば……。

「1月21日に黒田東彦日銀総裁は会見で強気な態度を示していましたが、実際はもうお手上げ状態です。原油価格の低迷もあり2%のインフレ目標は達成できそうもないうえ、再度の黒田バズーカをうてば日銀不信が高まるリスクに直面する。打つ手がなく、ファンドマネージャーであればクビになってもおかしくない窮地に陥っています。

スイスでも日本でも同じように、政策当局者が自信を失っている。となれば、基本的に、『国策には乗れ』が合い言葉だった投資家たちはなにを信じればいいのかわからなくなってしまう。これほど不透明な市場環境はありません。円安環境にある現在でも、常に円高リスクに備えなければいけない時代に突入したといえます」(通貨・国際投資アナリストの小口幸伸氏)

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