前田日明 第4回
「え!? 『極道辻説法』の『和尚前曰』はシマジさんが書いていたんですか?」

撮影:立木義浩

第3回はこちらをご覧ください。

シマジ だいぶ以前の本ですが、前田さんが文芸評論家の福田和也さんを向こうに回して『真剣勝負』(草思社)という対談集を出していましたね。

前田 いやいや、あれは福田さんの胸を借りて、自分はただ日頃から言いたかったことを言ったまでです。

シマジ 福田さんのような鋭い論客を相手に互角に闘えるのは、プロレス界では前田日明のほかにいないでしょう。

ヒノ あの本はぼくも読みました。前田さんがイタリア人のロマノ・ヴルピッタが書いた『不敗の条件 保田輿重郎と世界の思潮』(中公叢書)を読んだというと、福田さんが驚いて「ヴルピッタの『不敗の条件』を読んでいる---前田日明恐るべし」と絶賛していましたよね。

シマジ 保田輿重郎という人は、小林秀雄と同時代の文芸評論家で、学徒出陣していく若者に非常に大きな影響を与えた思想家でもあり、戦意高揚に資したとして戦後批判されることになった、と福田さんが説明していましたね。

前田 人間でも物でもそうですが、この世にはすべて本物と偽物が存在しているんです。自分はそれを見破ってやろうと思って、本を読んだり、人と会ったりしているんです。

立木 本物と偽物か、たしかにいるわな。

前田 太平洋戦争で撃墜王だった戦闘機乗りの坂井三郎さんは、人間として本物でした。