メディア・マスコミ
イスラム国の邦人拘束・殺害事件をPRしないために、国会やメディアはどうふるまえばよいか
人質となった後藤健二さん。昨年の10月24日にシリアのアレッポで撮影された写真          Photo by Ahmed Muhammed Ali/Anadolu Agency/Getty Images)

政府は事件に関する余計な国会答弁は不要

今回のように当事者と国民がインターネットで情報をやり取りすると、間に立つメディアの役割が問われる。

今週は国会がはじまる。会期は6月24日までの150日間だ。
 
イスラム国による邦人拘束・殺害事件が議論されるだろう。当初、身代金目的とも思われたが、湯川さんが殺害され、身代金ではなく、ヨルダンに拘束されている死刑囚との人質交換と急転回してきた。
 
24日の真夜中、ネット上で、後藤健二さんと見られる動画がアップされた(その動画はいろいろなサイトで掲載、削除されているが、例えば、https://www.youtube.com/watch?v=CfTLJ9sw0hE)。

日本のニュースサイトでは、御法度である死体とおぼしき写真(湯川さんとみられる斬首されたもの。ただしぼかし・黒塗り)を、後藤健二さんが手にしている。よく25日のテレビ各局は、そうしたネット上の動画をもとにしたニュースばかりであふれていた。

こうした国民の関心事は国会でも議論になるだろう。ただし、国会でいくら議論しても、解決にはまったく役立たないのは明らかだ。事件は日本の国会ではなく、中東でおきている。下手をすると、イスラム国によるテロのPRになりかねない。

まず、この事件への対応があるため、予算委員会などで閣僚の拘束はできるだけやめたほうがいい。そもそも、先進国の国会で関係のない閣僚までも会議出席を強いる国はまずない。関係者だけでしっかり議論すればいいのだ。

また、国会で質問を行うにあたっては、政府の水面下の交渉も含めて予断を許さない状況であるので、人質の安否についてのリスクも十分考慮して、質問すべきである。

一方、政府も余計な答弁は不用である。これまで、官邸を注として不用意な発言はあまりなかった。安倍首相は「人命第一。テロには屈しない」と繰り返しており、これは正しい。

ただし、21日の高村副総裁が「身代金を払うこともできない」と発言したのは不味い。身代金については言及しないで交渉余地を最大限に広くするというのが、日本政府としては正しいやり方だ。高村副総裁には、官邸から注意があっただろう。

これに関連して、1999年のキルギスで発生した日本人拉致事件について、鈴木宗男氏が300万ドルの身代金支払いを明かしたが、これは外交にあるまじき発言だ。さらに、元外交官も公言しているのは嘆かわしい。過去の話を暴露しても、今の問題には何も解決にならない。何より日本政府の交渉上の立場を弱くすだけだ。

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