メディア・マスコミ
「オフレコ取材」と「情報源の秘匿」---日米でこんなに違う「情報源」の中身
法廷闘争に勝利し記者会見を開いたジェームズ・ライゼン記者 〔PHOTO〕gettyimages

情報源を秘匿できなければジャーナリストは機能しない

報道界で「情報源の秘匿」が話題になるとき、情報源とは誰のことなのか。アメリカでは非権力側の内部告発者、日本では権力側の政府高官が想定されることが多い。日米で情報源の立場は正反対になるわけだ。

年明け早々、アメリカでは情報源の秘匿に絡んで重要な展開があった。ニューヨーク・タイムズのジェームズ・ライゼン記者が7年にわたる法廷闘争を終え、情報源の特定を強制されずに済んだのである。

ピュリツァー賞を2度受賞した経歴を持つライゼン記者は、2006年の著書『戦争大統領』の中で米中央情報局(CIA)によるイラン核開発妨害工作を暴露。これが原因で司法省から情報源を明かすよう求められていたが、「情報源の秘匿」を理由に証言拒否を続けていた。

ライゼン記者は、秘密漏洩の罪で起訴されている元CIA職員のジェフリー・スターリング被告を情報源にしていたとみられている。昨年には連邦最高裁から「証言拒否を認めない」と通告され、法廷侮辱罪で収監されかねない状況に置かれていた。しかしここにきて司法省が証言を求めない方針を決めたため、収監を免れた。

オバマ政権は、国家安全保障上の秘密をメディアにリークする政府職員に対して厳しい姿勢で臨んできた。摘発件数で見ると、過去の全政権を合計してもオバマ政権に及ばない。そのため報道の自由を重んじるメディアや市民団体の間で危機感が広がり、ライゼン記者が情報源を秘匿できるかどうかは今後を占うリトマス紙と見なされていた。同記者の弁護士は勝利確定後に「これはジェームズ・ライゼンにとどまらず、すべてのジャーナリストに影響する話」と語っている。

ライゼン記者は「決して身元を明かさない」という約束で情報源に接触したはずだ。日本の報道界で言う「オフレコ取材」をしたのである。司法省の圧力に屈して情報源が誰であるかを明かせば、信義違反になって取材先からの信用を失う。情報源を秘匿できなければ、ジャーナリストは機能しないのである。

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