国際・外交 テロ
安倍首相の「イスラム国脅迫」への最初の対応は良かった。
人質生還のチャンスはある

安倍首相がイスラエルなど中東歴訪したタイミングで、イスラム国は脅迫をした photo Getty Images

安倍晋三政権が新年早々、激震に見舞われている。イスラム過激派組織の「イスラム国」が日本人2人を拘束し、日本政府に対して身代金2億ドル(約236億円)を72時間以内に支払わなければ2人を殺害する、と脅迫した。この事件をどうみるか。

長期戦に持ち込めるかどうか

事件は単に「日本人もテロリストの標的になりうる」という事実を示しただけではない。明確に政府を対象にした点で、たとえば2013年1月のアルジェリア人質事件とも異なっている。そういう脈絡からは、これからは日本の大使館が標的になってもおかしくない。

安倍政権が難しい対応を迫られているのはもちろんだ。私はそれでも「2人が無事生還するチャンスは残っている」とみる。ただし、それには拙速を避けなければならない。じっくり時間をかける。つまり長期戦に持ち込めるかどうかが鍵になるのではないか。

交渉ごとは、どんな場合でも相手の側から事態を眺めるのが鉄則である。自分の都合ではなく、相手の都合で考えるのだ。そこから突破口が見えてくる。

イスラム国が求めているのは何か。ずばりカネだ。イスラム国は原油の密輸出と人質の身代金を資金源にしている。彼らはたまたま人質を拘束しているのではない。取引して身代金を手に入れるために、組織の「事業」として誘拐事件を展開しているのだ。

解放された外国人元人質の証言によれば、人質たちは全部で数十人ともいわれる。そんな人質は大事な資金源だ。誘拐した後、数週間から数カ月以上も拘束し、家族や出身国の政府に巨額の身代金を要求する。要求に応じれば解放するケースもある。

報道によれば、湯川遥菜さんの場合、初めは家族に10億円の身代金を要求した。後藤健二さんも家族が20億円余の身代金を要求されたという。それが不首尾に終わって今回、政府に1億ドル(約118億円)を要求したのである。

湯川さんは行方不明になって3カ月が経過している。イスラム国の犯人たちは「いずれはカネになる」とみて、2人を「大切に」生かし続けてきた形である。

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