ジャック・マーを育てたビジネススクール
長江商学院の秘密【第2回】
中国若手起業家たちのビジネスモデルは「安さ」から「品質」へ

充実した勉学環境だ

第1回めは、長江商学院の学院長が考える、日本人が北京で学ぶメリット、日本企業が中国で成功する戦略についてご紹介した。

では、現在、長江商学院にはどんな学生たちが学んでいるのか。彼らは今後の中国のビジネスがどう変わっていると考えているのか。

3人の起業家に登場してもらうことにしよう。

実際に長江商学院に入学したらこんなクラスメートとともに学び、人脈を築いていくことになるのだ。

長江商学院で学ぶ華僑3世の夢

インドネシア生まれの郭芳芳(グオ・ファンファン)さん 

――ファンさんは、何を学ぶために長江商学院を選んだのですか?

 「私はオーバーシーズチャイニーズの3世です。インドネシアのジャカルタで生まれ育ったのですが、80年代90年代のインドネシアでは中国語を勉強することが許されませんでした。ですが、もちろん中国人の血が流れており、家族からも華人として生きることを期待されていましたので、言葉を中国で勉強する必要がありました。それで今から14年ほど前に北京に来て、中国語を学び、同時に中央美術学院で油絵も学びました。

美術学院を卒業後、芸術品のオークション関係の仕事、画廊の運営、インドネシアの美術館に芸術品を購入してもらいたい中国の業者の架け橋の役目などをしていました。しばらく働いたのち、中国でビジネスをする際に必要な商売のノウハウを体系的に学んで、将来、中国とインドネシアの芸術交流とビジネスを両立させるような起業をしたいと思い、長江商学院を選びました。

教授に海外からの帰国者が多いことが有名で、グローバルな仕事を知り尽くした教授陣が多そうだったのと、中国にあったノウハウが学べるだろうということが選択の決め手です」

――学生生活は、どのようなスケジュールですか?

 「2014年9月に入学したのですが、すぐに学生たちや、OB、そして先生と親交を深めるイベントがたくさんあり、感心しました。その時にもOBから言われたのですが、最初の6ヵ月はほかのことを何も考えないでただただ勉強です。学校から歩いて10分くらいのところに学生寮があり、授業は月曜から金曜まで朝から夜の20時まであります。当然授業の後は宿題もあり、翌日の予習もありで、他に何もできません」

――期待していた教授たちの教え方はいかがでしたか?

 「ビックリしたのは、教授が想像以上にプロフェッショナルだったことです。複雑な問題をシンプルに伝えてもらえることに感心しました。

就職したオークション業界では、先輩たちに学びながら仕事をしていたのですが、そのノウハウが最善なのかどうか、わからない部分がありました。長江に来て海外を知る先生が、海外ではこう、中国ではこう、両方のメリット・デメリットを教えてくれて、比較しながらどちらが良いのか自分で考えなさい、と教わりました。それがとても良いと思います。

社会の変化には特にセンシティブで、業界の将来性、ポテンシャルや方向性について、はっきり教えてくれました。ですので明確に選択ができるようになりました」

――将来の設計を教えてください。

 「長江を卒業したら、やはりアートを扱うことでインドネシアと中国の文化交流のブリッジとなるような仕事をしていきたいと思っています。ビジネスというより、文化交流を意識して重視するのは、まず、アートを扱ううえでビジネス重視では単なる投機になってしまい持続的な仕事にならないから。

逆にインドネシアというのはまだまだ途上国ですから、中国との文化交流が盛んになれば、それが私にとって自然にビジネスの拡大につながるだろうと考えています。アートビジネスはほかの仕事と違って、人々のテイスト、慣わし、精神的ニーズと切っても切れない関係にあります。インドネシアと中国の関係を強める中でこれからの生きる道を模索していきたい。

日本にも進出したいですが、現状ではハードルが高いです。中国とインドネシアで成功した後で考える話だと思っています」