【内閣府 その4】 産業、観光、サービス、農林水産業による地方創生を! 「なめんなよ茨城県」の事例から学ぶ

我がふるさとの「茨城県」は、2年連続で都道府県ブランドとしては最低の評価を得た。

ブランド総合研究所が毎年実施している都道府県魅力度ランキングの調査によると、「茨城県」ブランドは最下位だった。つまり、ブランドとして、茨城県はまったく魅力がないのだ。だからなのか、茨城県庁が採用したキャッチコピーが「なめんなよ茨城県」だ。もうやけくその感覚さえ漂ってくる。

だが、実は茨城県の所得水準は全国6位ときわめて高い。平均敷地面積は一番広い。さらに、農業の産出額は北海道に次ぐ全国2位を堅持しており、2013年の企業誘致は工場立地件数・面積・県外企業の立地件数の3項目で、全国1位を独占している。

つまり、「なめんなよ茨城県」は、所得は豊かで、家は広く、田園風景が続き、工業製品も多く産出する県であることが浮かび上がってくる。実は、豊かな田舎なのだ。

今回の「100の行動」地方創生編では、筆者の故郷であるブランド価値最低の「なめんなよ茨城県」をモデルケースとして、各産業について論じ、地域経済再生のヒントを提案してみたい。

1. 産業: 大学・研究機関や民間企業を中心とした産業クラスターの形成強化を!

「なめんなよ茨城県」の所得が高い理由の1つとして、産業クラスターの集積が上げられる。いわゆる「つくば」「東海村」「日立」「鹿島」である。

つまり、産業技術総合研究所(産総研)や筑波大学を中心とした研究機関を国策として集約した「つくば」。原子力関連施設を中心とした「東海村」。電気機械産業と関連中小企業の共存による産業集積の「日立」市。石油化学、鉄鋼プラント等の工業集積の「鹿島」。こういった産業クラスターの形成に成功していることが、所得水準が高い主要因だと言えよう。

それぞれの地域は、実はまったく違う形態でクラスター化されていった。「つくば」は、筑波大学を中心とした研究開発拠点として人工的に開発された。「東海村」は、大洗を含めた原子力のメッカとして集積し、その近郊の「日立」は、日立製作所の城下町として栄え、「鹿島」は大規模な人工港の建造により鉄鋼・石油化学の一大工業地帯ができあがったのだ。

日本では1980年代以降、当時の通商産業省(通産省)の政策で各地域における産業クラスター形成計画が進められた。これは、全国各地に企業、大学等が産学官連携し、産業クラスターの形成を狙ったものだ。官主導のこうした産官学連携が全国的に必ずしもうまくいっているとは言い切れない。

だが、地方経済の成長のためには、すでに各地に集積している知的資源を活用し、産業界と地域・国とのアライアンスを強化する必要がある。茨城県の4つの事例でもわかるが、国家のコミットメントはかなり重要だと言えよう。

さらに交通インフラも重要だ。茨城県を縦に走る常磐高速道に加え、県南を埼玉・千葉へと横切る圏央道、県央を横切る北関東自動車道、県東を千葉と結ぶ東関東自動車道等の整備が進んでいる。内陸部の工場地帯や首都圏の中堅都市が接続され首都圏との近接性が向上している。

かつて独立して管理されていた日立港、常陸那珂港、鹿島港は統合され国際中核港湾として戦略的に一括管理される「茨城港」として再スタートを切った。常陸那珂港区は大型建機を直接工場から船に積み荷できる利点を活かし、日立建機、コマツなどが新たに立地した。さらには大手自動車メーカーも進出を検討するなど大型製品の輸出拠点としての工場や関係施設の集積が始まっている。また、後で詳述する茨城空港もできた。

この「なめんなよ茨城県」の事例でもわかる通り、地域、民間、国家の共同プロジェクトによる産業クラスターの創出が、地方創生の1つのカギとなろう。

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