【東京土地のグランプリ005】港区
「3A」に負けない三田2丁目の魅力

三井綱町倶楽部が街並みに高級感を醸し出す

港区の高級住宅地と言えば、赤坂、青山、麻布、いわゆる3Aが頭に浮かぶ人も多いだろう。「セオリー」誌の土地のグランプリのランキングのバックナンバーを見ても、ベスト10をこれらの地域がほぼ独占している。

大使館が立ち並ぶ三田2丁目

町名を見れば、たしかにこれらのエリアに優良な住宅地が多いことは間違いないのだが、イメージ先行の部分もあり、町丁目まで細分化していくと、単なる商業地があるのも事実。それとは対象的に3Aに比べて町名の知名度こそ劣るものの町丁目単位では、充分に高級住宅地と言える場所もある。その一つが「三田2丁目」だろう。

港区のほぼ中心部に位置し、最寄り駅は地下鉄の麻布十番駅で、駅からの距離は徒歩5分から10分程度。地下鉄の白金高輪やJRの田町駅も十分徒歩圏だ。

地域の西橋を首都高目黒線が走っているが、町を歩いて騒音などで高速道路を意識することはほとんどないだろう。首都高の下を流れる古川を挟んだ反対側の麻布側に入れば、飲食店なども多く活気に溢れたエリアもあり、生活に必要なものはほとんど揃うはずだ。

地域のシンボルは「慶應義塾大学」。地区の東南に位置する大学三田キャンパスをはじめ、中等部や女子校、さらに大学グラウンドなど慶応関係の施設が点在する。学生が多いため、古い高級住宅地にありがちな老人の町的な雰囲気もない。

大使館も多く、三田1丁目との境を南北に走る日向坂に沿った高台には「オーストラリア大使館」が、坂から一本入った場所には「イタリア大使館」が、さらに慶応中学の南には「ハンガリー大使館」がそれぞれ建っている。外国人の姿を見ることが多いのは、そのためだ。

また、日向坂沿いのオーストラリア大使館の隣には「綱町三井倶楽部」もある。三井グループ関係者専用の会員制倶楽部のため、内部を自由に見学することはできないが、門の外から眺めただけでも西洋宮殿風の本館と広大な西洋庭園が広がる様子は実に優雅で、これもエリア全体に漂う開放的な雰囲気に一役買っていることは間違いないだろう。

実は、三田二丁目が住宅としてあまり注目されない理由も、こうした住宅以外の施設が地区の大部分をしめているからかもしれない。

ただし、オーストラリア大使館は須賀侯爵邸跡地だし、慶應義塾大学も旧島原藩中屋敷跡地、綱町三井倶楽部は島津氏の日向佐土原藩の江戸上屋敷跡。実はこの地域は江戸自体から武家屋敷が並んでいた歴史あるお屋敷町だ。

綱坂周辺は港区とは思えぬ静けさ

とりわけ日向坂沿いの高台部と、日向坂とエリアの中央部分で交差する綱坂の周辺は日当たりも良好で、今も低層を中心にグレードの高い低層マンションや立派な戸建ての邸宅が集まっている。

周辺の大使館の敷地内には樹木の緑も豊富で、エリアぜんたいがしっとり落ち着いている。特に慶応大学方面から日向坂へ登る綱坂沿いなどは、道幅も日か的細く一方通行のため車両の通行は限られるし、そもそも歩行者と出会うことも多くない。平日のお昼前後に取材で訪れた時も、坂ですれ違ったのは散歩途中と思われる若者のカップルくらいだった。慶應大学のキャンパス周辺や櫻田通り沿いから受ける賑やかなイメージからは想像も付かない閑静な一画と言える。都会で静かに暮らしたい層には最適な住宅地と言えそうだ。