「反日」の行動に出る人々と日本に興味を持ち情報を集める人々は全く別の世界に存在しているようなもの---毛丹青/蘇静他・著『知日――なぜ中国人は、日本が好きなのか!』
佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」vol052 読書ノートより

読書ノート No.159

●毛丹青/蘇静他『知日――なぜ中国人は、日本が好きなのか!』潮出版社、2015年1月

日中の政府間関係は、以前としてよくない。また、両国民の一部にも排外主義的な言説を唱える人がいる。このような状況で、日本を等身大で知ることの重要性を考える中国人が少なからずいることが本書を通じて伝わってくる。

2011年1月、北京で刊行された雑誌『知日』について、同誌の蘇静編集長はこう語る。

<●創刊は日中関係が悪化していた時期でもありますが、リスクは感じましたか?

二〇〇〇年に北京に上京して以来、まあ、良かった時期は一回もないんですよ。いつも悪いのでそれに慣れていて、良いほうが慣れないくらい(笑)。私が思うに、「反日」を声高に叫び過激な行動に出る人々と、日本に興味を持ち日本の情報を集める人々とは、全然別の世界に存在しているようなもので、お互いが交わることもない。彼らは、これまでは我々の姿も全然見えていなかったと思いますよ。ただ、ここ数年で彼らが我々を見つけ、目をつけて、何か攻撃的なことを言ったりもする。でも、それはそれで、別の世界に生きているようなもので、お互い理解不能で、関係ないんです。本や雑誌を読むような層は理性的なタイプが主流です。二〇一〇年前後も日本に関する書籍はよく売れていて、『知日』創刊を思いついたくらいですから。

●なぜそんなに、日本に興味を持つ層が存在するのでしょう?

実は、『知日』創刊を考えた時期、アメリカカルチャーを知る『知美』(註:中国語ではアメリカ=美国)とか、『知徳』(註:ドイツ=徳国)なども一緒に創刊したらどうか、と考えたことがあるんです。私は、イギリスの『ロンリープラネット』というガイドブックシリーズが大好きで、その中国版になるような本を作りたいとも思っていた。ただ『ロンリープラネット』は実用情報が主で、それはもうネットに移行するのではないか、と予想された。それなら、『ロンリープラネット』にはあまり紹介されない、各国のカルチャーを中心に据えた雑誌シリーズにしたらいいのではないか、と。

でも、よく考えてみると、アメリカのカルチャーは、グローバル化しすぎていて、特徴があまりない。ドイツも、内容的に何号つくれるか? その他の国だったら、一、二号出して終わっちゃうかもしれない。日本だけが、定期刊行物にしてもずっとずっとテーマが尽きることがないんです。

そこが日本を探究する層の心に火をつけるわけだし、『知日』が拠って立つところでもある。

そうして、日本専門のカルチャーマガジン『知日』が生まれたわけです。>(46頁)

政治状況が厳しいときには、文化交流が相互理解に重要な役割を果たすという実例だ。

このテーマについて深く知るための「連読」3冊
・莫言(長堀祐造)『』明石書店、2013年3月
・宮家邦彦『語られざる中国の結末』PHP新書、2013年10月
・矢板明夫『習金平 なぜ暴走するのか』文春文庫、2014年9月
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