ナチスを彷彿させるウクライナキエフの「たいまつ行進」

佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」vol052 インテリジェンス・レポートより

【事実関係】
1月1日夜、ウクライナの首都キエフにおいて、ナチスを彷彿させる「たいまつ行進」が行われた。

【コメント】
1.
1月1日夜、ウクライナの首都キエフにおいて、ナチスを彷彿させる「たいまつ行進」が行われた。ウクライナ民族主義者ステパン・バンデラ(1909年1月1日生まれ)の生誕106年を記念する夜間行事だ。

2.―(1)
バンデラは一時期、ナチス・ドイツと提携し、ウクライナの独立を図ったことがある。バンデラが指揮する軍団が、ドイツ軍の指揮下に入ってソ連軍と戦い、戦争初期にウクライナを支配下に置いた。もっとも、ナチスの特徴は、「約束を守るとは約束していない」と言って合意を反故にすることだ。ウクライナ独立の約束をナチスは守らず、ウクライナ人はドイツの鉱山や工場で働かされ、「東方の労働者」と呼ばれた。バンデラはナチスによって逮捕され、強制収容所に送られた。

2.―(2)
バンデラの軍団は、ドイツ軍の下に置かれ、無辜のユダヤ人、スロバキア人、チェコ人を虐殺した。戦争末期、バンデラは米軍によって強制収容所から釈放された。

2.―(3)
第二次世界大戦後、バンデラとその支持者は西ドイツに拠点を置いて、ウクライナにおける反ソ武装闘争を指導した。

2.―(4)
バンデラは1959年10月15日、ミュンヘンの自宅周辺でKGB(ソ連国家保安委員会=秘密警察)の刺客によって暗殺された。

3.
ウクライナ西部のガリツィア地方に基盤を持つ政党「スボボダ」は、バンデラの思想と運動形態を継承している。バンデラ主義者と呼ばれる人々が主張するウクライナ民族至上主義、反ユダヤ主義は、国際基準でネオナチに分類される。今回「スボボダ」をはじめとするバンデラ主義者が、ナチスが頻繁に行った「たいまつ行進」を行ったのも、自らがネオナチであることを誇示するためである。

4.―(1)
この動きに対し、ロシアだけでなくチェコも反発している。

<チェコのゼマン大統領が4日、ラジオ局Frekvence1の放送で、ウクライナの首都キエフで行われた民族主義者たちの「たいまつ行進」をEUが非難しないことは、EUが何か間違っていることを物語っているとの考えを表した。タス通信が伝えた。

ゼマン大統領は、「ウクライナには何か悪いことが起こっている。しかし、このような行進に対して抗議を表明しないEUにも何か悪いことが起こっている」と述べた。

大統領は行進について、「ヒトラーの時代に組織されたナチスの行進と同じように準備されたものだ」と指摘した。>(1月5日露国営ラジオ「ロシアの声」日本語版ウェブサイトより)・・・(以下略)

佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」vol052(2015年1月7日配信)より