英国秘密情報部はイスラム過激派の具体的なテロ計画の情報を得ている---アンドリュー・パーカー:MI5長官の警告

佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」vol052 インテリジェンス・レポートより
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【事実関係】
英国秘密情報部(SS)のアンドリュー・パーカー長官が1月8日、<シリアのイスラム過激派組織が欧米で無差別攻撃を計画していると述べた。交通機関や「象徴的な」場所が狙われる可能性があるとしている。/7日にパリで12人が死亡する襲撃事件が起きたことを踏まえ、英国でも同様な事件が起こる可能性が高いと指摘。/「シリアのアルカイダ系グループが、西側に対する無差別的攻撃を計画している」と述べた。>(1月8日ロイターより)

【コメント】
2.―(1)
SSの幹部がマスメディアに登場することはほとんどない。しかし、1月8日、SSのアンドリュー・パーカー長官が、<シリアのイスラム過激派組織が欧米で無差別攻撃を計画していると述べた。交通機関や「象徴的な」場所が狙われる可能性があるとしている。/7日にパリで12人が死亡する襲撃事件が起きたことを踏まえ、英国でも同様な事件が起こる可能性が高いと指摘。/「シリアのアルカイダ系グループが、西側に対する無差別的攻撃を計画している」と述べた。>(1月8日ロイターより)。これは尋常な事態でない。SSが具体的なテロ計画に関する情報を得ていることは間違いない。

3.―(1)
1月7日、フランスのパリ中心部にある週刊紙「シャルリー・エブド」本社に2人のテロリストが押し入り、12人を射殺した。2人は現場から逃走し、パリ北東ダマルタンアンゴエルの印刷会社に人質を取って立て籠もった。9日、治安部隊が会社に突入し、容疑者2人を射殺した。フランス政府筋によると、ダマルタンアンゴエルの印刷会社に立てこもっていた兄弟は死亡する前、建物から姿を表し、警察隊に向かって発砲した。死亡する直前、シェリフ・クアシ容疑者はテレビとの電話インタビューで、イエメンのアルカイダから資金援助を受けていると述べた。(・・・略)

3.―(2)
この事件と連動し、8日、パリ市内で女性警官を射殺し、9日にパリ東部のユダヤ人が経営する食料品店に、マリ系のアムディ・クリバリ容疑者が立て籠もった。9日、治安部隊が食料品店に突入し、容疑者を射殺し、人質を解放したが、人質のうち4人が死亡した。立て籠もっている最中、クリバリはフランスのニュース専門テレビ局BFMTVの電話取材に応じ、以下のやりとりをしている。

<――なぜ、あなたたちはそこにいるのか?

フランスが、「イスラム国」とカリフ(イスラム共同体の指導者)を攻撃したからだ。

――「イスラム国」から指示を受けているのか?

そうだ。

――クアシ兄弟とつながっているのか?

そうだ。私たちは、最初から連動していたので、同時に行動を起こした。彼らの標的は「シャルリー・エブド」で、私の標的は警官だった。

――あなたたちはお互いに今でもやりとりしているのか? 最近、彼らと電話で話したか?

いや、していない。

――いま、そこにあなたのパートナー(アヤト・ブメディエン容疑者)も一緒にいるのか?

いや、私1人だ。彼女はここにいない。

――そちらの店には人は何人いる?

すでに死んだ4人と、大人16人と子ども1人の計17人だ。(電話の向こうで誰かと話して)8人の女性がいる。

――あなたは何を求めているのか?

私は、フランスが、今戦っている「イスラム国」やイスラムと戦っている場所から手を引くことを求めている。交渉の準備はできている。警察に私に電話をするように言ってくれ。(・・・略)

3.―(3)
「『イスラム国』とアルカイダが袂を分かっている」という現象面での情報に惑わされてはならない。食料品店に立て籠もったクリバリ容疑者が、新聞社襲撃にも関与したことを告白する映像を残している。(以下略)

佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」vol052(2015年1月13日配信)より