民主党代表選挙で国民の期待に応える民主党が生まれるのか?
古賀茂明と日本再生を考えるメールマガジン vol114・115より

統一地方選の顔選び

海江田万里前代表が、先の衆議院選挙で落選して退任した後を受けて行なわれる民主党の代選挙が1月7日に公示された。18日の臨時党大会で新代表が決まる。

今回は、民主党所属の国会議員だけでなく、地方議員、党員・サポーターらの投票もポイント制で各候補に割り振って、過半数を取った人が当選する仕組みだ。全体のポイントの半分近くを占める党員・サポーター票が重要な意味を持ってくるが、実際に投票する人の数はかなり少なく、その結果、労働組合の影響が強くなってしまうかもしれない。

このため、各候補とも、組合が反対する政策を正面から掲げることがしにくくなるという懸念がある。

代表選びのポイントは、もちろん、第一に候補者の政策だが、それとともに、今回の選挙では、今年4月の統一地方選の顔になるので、民主党の選挙の顔として誰がふさわしいのかという要素もかなり大きくなる。特に、今年選挙を迎える地方議員にとっては、人気のない代表になってしまったら、自分達の選挙に不利、すなわち、選挙で落選するかもしれないという気持ちがあるので、この傾向がより強く出る。

政策なんかどうでもいいから、人気取りに使える候補者を、と公言するような地方議員までいるそうだ。

そうなると、細野氏が、若さとイケメンぶりで有利という見方もあるが、地域によって、有権者の好みには結構違いあるという調査もあり、そう簡単ではないようだ。

この選挙は、民主党の選挙だが、民主党がどのような政党になっていくのかということは、民主党員だけの問題ではない。ネットを見ると、民主党なんかどうせ変わらないんだからとか、今の国会の勢力図では、民主党の代表が誰になろうと大きな違いはないとか、冷めた見方をする声も多い。確かに、そう思いたくなるのもわかる気もするが、食わず嫌いはやめて、まずは、三人の演説や記者会見での発言を実際に見ていただくことをお勧めしたい。残念ながら、岡田候補は、今のところ、年末に発症した網膜はく離の手術の影響で街頭演説は控えているが、細野氏と長妻氏の演説を聴くと、両者の人柄が微妙ににじみ出ているようで結構面白い。
http://www.dpj.or.jp/presidentialelection201501

いずれにしても、今回の選挙で民主党が変われなければ、おそらく民主党の復活は永遠になくなるのではないか。そう思って見れば、なおさら興味が湧いてくる。

政策で違いがわかるか
―経済政策・社会保障などの政策に大きな違いは見えない

選挙演説などの動画を見て、この選挙に関心を持てたら、次のステップは、各候補の「政見」、すなわち、政策の公約をみることだ。私も早速熟読してみた。

同じ民主党の候補だからということもあるが、経済政策や社会保障政策では、正直言って、大きな違いは見られない。各候補とも、他の候補との違いを打ち出すことよりも、安倍政権との違いを打ち出すことに力を入れている感が強い。いずれの候補も格差問題をかなり意識しているのが特徴だ。

その中では、長妻氏の相対的貧困率に関する数値目標を導入するというのが目新しい。このような明確な指標を掲げれば、格差是正を進めることが明確な約束になるので、面白い政策だと言える。単に格差是正とか公正な社会実現というよりもはるかに踏み込んだ政策と言えるだろう。

集団的自衛権については、細野氏がタカ派?岡田氏は?長妻氏がハト派

民主党最大のアキレス腱である外交安保政策はどうか。政見を読むと、細野氏は集団的自衛権について、こんなに重要な課題であるにもかかわらず、あえて触れていない。しかし、記者会見で質問されると、集団的自衛権の行使を認めた閣議決定には反対、基本は個別的自衛権で対処するが、朝鮮半島有事の際はそれだけで行けるのかわからないというような回答をしている。

政見でわからず、会見でもわからない場合には、推薦人を見てみるとヒントが得られる場合がある。細野氏の推薦人には長島昭久氏のような超タカ派も入っているので、基本はタカ派なのだが、それでは、安倍政権に対峙する勢力というイメージに悪影響があるので、聞かれたときだけ答えて、何とかタカ派色を見せないようにしようという作戦のように見える。

岡田氏は、政見で集団的自衛権行使容認の閣議決定反対と書いて、やはり、リベラル色を見せているが、集団的自衛権そのものに反対かどうかは何も書いていない。記者会見では、政府の閣議決定について少し詳しい解釈論をしているものの集団的自衛権の是非については、今後の議論に委ねるという言い方で、やはり、明言を避けている。

推薦人には、野田佳彦氏のようなタカ派もいる一方で阿部知子氏のようなハト派もいるので、はっきり言って良くわからないが、細野氏と同程度のタカ派と見て良いのではないか。

長妻氏は、政見の中で、あくまで個別的自衛権の範囲内での法整備を目指すと述べている。細野・岡田両氏とは明らかに異なる。ハト派と言って良いだろう。

面白かったのは、細野氏が、共同会見で三者の発言の後、三者とも考えが同じだとわかって安心したと発言したことだ。明らかに、自分がタカ派で、長妻氏がハト派だと見られては困ると考えて、慌ててそれを消すための発言をしたということだろう。
しかし、かえって、不自然さが出てしまい、墓穴を掘ってしまったように見えた。

特定秘密保護法については踏み込まず

特定秘密保護法については、細野・岡田両候補は特に言及せず、長妻候補も第三者機関の監視・関与の強化を謳っただけで、廃止や抜本見直しには触れていない。今回は争点にはならないということだ。

なお、細野氏は、この点には触れていないものの、情報公開法や公文書管理法改正による国民の知る権利強化をあえて掲げていることは、従来の民主党の政策ではあるが、評価できる。・・・(以下略。 この続きはメルマガでお読みいただけます。)

古賀茂明と日本再生を考えるメールマガジン
Vol114・115(2015年1月9日配信)より

【古賀茂明と日本再生を考えるメールマガジン Vol.114 目次】

新年のご挨拶とお知らせ
―第1部― 日本再生のために
 1.民主党代表選挙で国民の期待に応える民主党が生まれるのか?
  ●統一地方選の顔選び
  ●政策で違いがわかるか
   ―経済政策・社会保障などの政策に大きな違いは見えない
  ●集団的自衛権については、細野氏がタカ派?岡田氏は?長妻氏がハト派
  ●特定秘密保護法については踏み込まず
  ●改革にも新味はなし 公務員改革は切り込み不足
  ●脱原発は、長妻氏が具体的提案、岡田氏・細野氏は事実上コミットせず
  ●実績は?
 2.野党再編の予想
  ●細野氏と橋下氏をつないだ原発
 3.今回の代表選は野党再編に直結しない
  ●もう一回、政策によるリシャッフルが必要
 4.今年度補正予算もバラマキ、税制改正は改革不発、目玉は法人税減税
  ●格差拡大の税制と庶民に住宅を買わせて業界を助け続ける税制
  ●来年度予算はまた最高を更新
―第2部― 読者との対話
―第3部― 古賀さんのスケジュール