沖縄と安倍政権
『週刊現代』官々愕々より
安倍首相と沖縄基地負担軽減担当の菅氏---〔PHOTO〕gettyimages

安倍政権が露骨な沖縄バッシングを行っている。米軍普天間飛行場の辺野古への移設に反対する翁長雄志知事への脅しと揺さぶりが目的だ。

昨年11月の沖縄県知事選で当選した翁長知事が、年末に就任あいさつで上京した際、年明け後に上京した際のいずれも、安倍晋三総理はもちろん、外相、防衛相、沖縄基地負担軽減担当の菅義偉官房長官まで揃って面会を拒絶。結局、会ったのは山口俊一沖縄担当相だけだった。

さらに安倍政権は、2015年度予算の概算要求で3794億円を計上していた沖縄振興予算を減額するという情報を年末から流した。表向き、政府は「振興策と基地問題はリンクしない」(菅官房長官)との立場をとるが、一昨年末、仲井真弘多知事(当時)に概算要求を上回る3500億円の予算などを約束したのに比べれば、その冷遇振りは際立つ。

沖縄ではもちろん、本土でも、さすがに酷いという批判が広がる。にもかかわらず、何故ここまでやるのか。そこには、安倍総理とその側近官僚たちの「哲学」がある。

哲学その1。「国民の要求はいつも間違っている」。その前提は、自分達の政策は絶対に正しいという驕り。逆に言えば、国民は馬鹿だという軽蔑だ。「我々が、考えに考え抜いた結果、これしかないという政策が辺野古移転だ。県外移設など凡人の浅知恵。相手にする必要はない」というものだといえる。

哲学その2。「最後は金目でしょ」。福島の中間貯蔵施設の関連で、ついホンネを漏らして大顰蹙を買ったのは石原伸晃元環境相だが、あの発言は官邸で菅官房長官と話した直後に出たものだ。官邸でそういう話をしていたのだろう。「理不尽な要求の裏にはたかりの構造がある。金さえ出せば最後は解決する。逆に言えば、金を出さないぞと脅せば、いつかは折れてくる」と考えるわけである。

哲学その3。「既成事実を作れば勝ち」。安倍政権は、「辺野古移設工事をどんどん進めてしまえば、もう後戻りできないと国民は諦める」と考えている。原発推進の哲学も全く同じだ。

哲学その4。「住民運動で政策が変わると思わせるのは絶対に不可」。「住民のデモは無視し、阻止行動は淡々と排除する。安易に要求を呑むと、自分達の力で何かができると勘違いして、さらに運動が強くなる。何をやってもムダだという徒労感を与えることが重要で、その結果、時間とともに住民運動は下火になる」という考えだ。脱原発の官邸前のデモが彼らにとっての良い教科書になった。

ところで、2年ほど前に世間を大きく騒がせたツイッター官僚やブログ官僚のことを覚えているだろうか。彼らは、福島の「復興は不要」とか、福島事故の被災者支援をする人たちに対し「左翼のクソども」などという暴言を吐いた。今回の安倍政権の翁長知事への対応を見ていると、根底にある哲学は全く同じだなと妙に納得してしまった。

この問題は、実は沖縄だけの問題ではない。

こういう哲学を持った政権が存在すれば、ありとあらゆるところで、我々国民の意思と正反対の政策が強行されてしまう可能性がある。原発も然り。集団的自衛権なども同じ構図だ。

こうしたいじめを続けられると、どんなに意思の強い人間でも、最後は参ってしまうものである。翁長知事が屈服すれば、安倍政権はその成功に味を占めて、その暴走が加速するだろう。国民全員が、沖縄の問題を我が事と考えて翁長知事を支持し、沖縄県民と連帯して行くことが重要だ。

『週刊現代』2015年1月31日号より

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