【沿線革命012】
「ゆりかもめ」延伸、湾岸新地下鉄の可能性は?

阿部等(交通コンサルタント)

湾岸の交通を劇的に良くするために、環状2号線に徹底的に便利なBRTを運行するとして、晴海通りにも徹底的に便利な新たな交通システムを導入したい。

BRTの虎ノ門の未来時刻表を見てみよう

【沿線革命011】にて、虎ノ門-新橋-晴海-ビッグサイトBRTの勝手ダイヤを提案した。虎ノ門から晴海選手村へ8分、ビッグサイトへ13分、新橋から晴海選手村へ11分、ビッグサイトへ16分で行ける4系統のBRTを、それぞれ朝2分おき、夕3分おき、その他5分おきに運行する。徹底的に便利な交通システムだ。

虎ノ門の平日の時刻表を示す。新橋も同じ本数で、4系統それぞれが293往復となる。1系統のみで山手線と同じくらいの運行本数で、4系統を併せると山手線の4倍ということだ。

BRTを徹底的に便利にすると鉄道では見ない大変な本数となる、新橋発も別に同本数


築地-晴海は4系統全てが通り、朝は平均30秒おきの高頻度となるが、【011】で解説したことを理想的に実行すれば運行できる。

採算性が心配となるが、前回試算したように1便当たり14人の乗車で運営費の損益分岐点を越える。

連接バスの定員を130人として、4系統併せた往復での1日当たり輸送力は、130[人/便]×293[便/系統]×4[系統]×2=304,720人となる。片道当たりピーク1時間の輸送力は、130[人/便]×30[便/系統]×4[系統]=15,600人となる。

常に積み残しが生じないように平均乗車率70%弱を限度とすると、実質的な1日当たり輸送力は20万人となる。各自が往復利用するので10万人分である。大雑把に分類すると、居住者の通勤・通学6万人、外部からの通勤2万人、外部からの訪問2万人といったところだ。

万全な形でなくとも早期の運行開始を!

中央区はBRTの運行開始を2016(平成28)年度としたのに対し、都は2019(平成31)年度と3年も遅らせた。環状2号線の築地-新橋のトンネルの完成がおそらく2019(平成31)年度となるせいだと考えられる。

現に多数の人が困っており、勝どきとの間でシャトルバスを運行している企業やマンションもある。タワーマンションの建設が次々と進み、人口は日々増えている。

湾岸部の健全な発展のために、万全な形でなくともBRTを早期に運行開始したい。提案している4系統のうち、トンネルを通らない新橋ービッグサイトの系統のみを早期に運行開始することを提案する。築地市場跡地内の暫定道路はトンネルより早期に完成するので、その時点から運行できる。

輸送力的にも、その時期なら4系統でなく1系統で十分だ。1系統でも連接バスを293往復では供給過剰だろう。運行本数を少なくするのも手だが、高頻度運行のままバスは通常のものとした方が利便性は高く、多くの利用を期待できる。

利用者にとっては、混んでさえいなければ、車両の定員の多い少ないは関係ない。大定員の車両で低頻度運行より、小定員の車両で高頻度運行の方が魅力的だ。

一部に「BRT=連接バス」との思い込みが広まっているが、BRTに必須なのは専用レーン・優先信号・バス停での運賃収受といったことで、連接バスは必須ではない。現在、連接バスを生産できる国内メーカーはないことからも、湾岸部の開発が途上の開業初期は、バスを購入費の安い通常のものとするのも手だ。

現実的には、開業初期はバスを通常のものとした上で293往復より少なめに運行し、開発が進んで利用者が増えるに従い増便し、293往復でも輸送力が不足する時点で連接バスを入れ始めるのが良いのではないだろうか。