ドイツ ギリシア
ナチス・ドイツに貸したお金を取り返せるか!? 第二次世界大戦中の借款をめぐるドイツとギリシャの攻防がおもしろい
SYRISA(急進左派連合)のアレクシス・ツィプラス党首 〔PHOTO〕gettyimages

大不況の淵に落っこちたままのギリシャ

ドイツの週刊誌『Der Spiegel(デア・シュピーゲル)』は、ときどき本当におもしろい記事を出す。1月12日に発売された同誌の「政府の機密報告: ドイツはギリシャに110億ユーロを返済しなければならない」は、中でもとりわけおもしろい。

去年の暮れ、ギリシャ国会が解散して以来、ギリシャ情勢は、たいへん微妙なことになっている。1月25日に総選挙がおこなわれるが、右派であるSYRISA党(急進左派連合)が急伸する可能性が大だ。党首のアレクシス・ツィプラス氏は、SYRIZA党が政権を取った暁には、給与を金融危機以前の水準に戻し、解雇された公務員を再雇用し、民営化も元どおりの公営に戻し、EUとIMFからの債務は返済しないと言っている。

2010年に金融危機が始まって以来、ギリシャは何度も破産の瀬戸際まで追い詰められた。その度にEUとIMFに救われてきたが、その代償としてEUとIMFと欧州中央銀行が、ギリシャ経済を厳しく管理している。そして、抜本的な構造改革と過酷な金融引き締め政策が実施されて以来、ギリシャは大不況の淵に落っこちたままだ。

最初の2年ほどはストやデモで対抗していた国民も、今ではすでに力尽き、デモも起こらない。増税と年金・賃金カットで消費が落ち込み、公的資金は枯渇し、投資は行き詰まり、人々は職を失い、今までバブルで回っていたものすべてが回らなくなった。学校では教科書さえ配布されず、医療保険も壊滅状態、現金がないと医者にも行けず、薬ももらえない。

ギリシャ人は、自分たちの窮乏はEUの干渉のせいだと思っている。特に悪いのはドイツだ。ドイツのメルケル首相が、ギリシャ人の最大の憎しみの対象となって久しい。

しかし、メルケル首相にしてみれば、ドイツの国庫からギリシャへの援助を引き出すだけでも、かなり苦労しているのだ。ギリシャの景気を上向けるための金融緩和など、ドイツ国民が支持するわけはない。ドイツでは「ギリシャをユーロ圏から追い出せ」とか「ドイツはユーロ圏を離脱すべきだ」などという強硬な意見さえ、巷にはけっこうある。2012年のアンケートでは、回答者の85%がギリシャへの締め付けを弱めるべきではないと答えた。

それゆえギリシャでは反EU的な空気が強まり、ツィプラス氏の人気がどんどん上昇する。ただ、ツィプラス氏はEUから離脱すると言ったわけではない。それどころか、自分が南欧の国々をまとめて、EUで南欧の力が強くなるようにすると息巻いている。「ギリシャが世界市場に振り回されるのではなく、世界市場がギリシャの奏でる音楽で踊ることになる!」のだそうだ。

これに対して、EUの首脳たちは懐疑的だ。EU議会の議長マーティン・シュルツ氏は、ギリシャのユーロ離脱などあり得ないとし、「誰でも本当に政権を握れば、現実的な政治をしないわけにはいかなくなる」と楽観視(のフリ?)。

また、ドイツの財相も「ギリシャは誰が政権を取ろうが、自国の義務を継続して果たさなければならない」と強気だ。現在のギリシャは、人々は貧乏のどん底に落ちたが、財政収支だけを見るなら、ようやく2016年には独り立ちできるところまで行きそうだった。ここで投げ出されては、EU諸国としては、たまったものではない。

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