野党再編失敗という予言

『週刊現代』官々愕々より

〔PHOTO〕gettyimages

謹賀新年。

'15年は、日本再生への希望の光を見出す年になるのだろうか。

まず何よりも、とどまるところを知らない安倍政権と官僚たちの暴走を止めたいと思っている有権者は多いだろう。そのためには、自民党に対峙できる強力な野党が必要だ。しかし、既成の野党に頼っていても、有権者の期待に応える形で野党再編が起きる可能性はほとんどなさそうだ。

安倍政権への対立軸を考えるために、この政権の性格を実績を見ながら定義づけてみよう。国家安全保障会議、特定秘密保護法、武器輸出解禁、集団的自衛権行使容認の閣議決定など、タカ派的政策が目に付く一方、経済政策では、アベノミクス第一の矢(大胆な金融緩和で円のバラマキ)と第二の矢(公共事業のバラマキ)だけはやったが、規制緩和などの第三の矢は不発だった。

実績から安倍政権を定義すれば、「改革はしないが、戦争はする」政権だということになる。論理的に考えれば、これに真っ向から対峙する勢力は、「改革はするが、戦争はしない」政党でなければならない。ここで言う改革とは、既得権団体と闘うこと、官僚主導を廃すること、民間主導の社会を目指すこと、弱者対策に名を借りたバラマキに反対することである。

これまで何回か指摘したが、民主党は、党内に改革派の議員もいるが、労働組合に依存する勢力が強く、バラマキに親和的な議員が多い。外交安保でも安倍氏とほぼ同じような考え方を持つタカ派が多いが、ハト派もかなりいる。「改革するかどうか不明で、戦争するのかしないのかも不明」、つまり、政策的に意味不明で自民党と対峙する勢力にはなりえない。

維新の党は、ほとんどが改革派ではあるが、外交安保では、江田憲司代表率いる元結いの党メンバーのハト派が少数いる他は、橋下徹大阪市長はじめタカ派が主流だ。つまり、党全体では「改革はするが、戦争もする」政党なので、やはり、自民党に真っ向から対峙する勢力にはなりえない。

1月18日に予定される民主党代表選で、民主党が野党再編を目指すのかどうかが注目されている。しかし、維新との合流を目指す野党再編論者だった細野豪志元幹事長が立候補表明の記者会見で何故か再編論を封印してしまった。組合を敵視する維新の橋下氏に反発する組合派の議員の票を集めるための戦略らしい。これでは、仮に細野氏という新しい顔はできても民主党は変われないままだ。対抗馬の岡田克也代表代行も党の一致団結を重視し、党を二分するような政策論争は回避しようとするだろう。つまり、民主党は変われないのである('14年12月26日現在)。

一方の維新の党も橋下氏が一時的に共同代表を外れることになったが、ハト派が主導権を握るとは考えにくく、タカ派中心でハト派が入り混じった状態は変わらない。そのままでは、両党とも、対自民の有効な対立軸になりえず、ジリ貧の道をたどるしかない。

一方、仮に民主と維新が合流すれば一時的に盛り上がるかもしれないが、バラバラの政策軸を持った議員の集まりの規模が大きくなるだけで、一過性のものに終わる運命だろう。

再三にわたって主張してきたことだが、やはり、重要なのは、政策軸を明確化することだ。「改革はしないが、戦争はする」自民党に対峙するためには、「改革はするが、戦争はしない」新たな政治勢力を作るしかない。

有権者のマグマは十分に溜まっている。小さくても信頼できる集団ができれば、一気に大きなうねりにつながると思うのだが。

『週刊現代』2015年1月17・24日号より

 

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