【第73回】デフォルトに向かって進むロシアとそのマーケットリスク
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ロシアの外貨獲得能力を低下させる原油安と通貨安

1月10日、大手格付機関のフィッチは、ロシアの長期信用格付けを投資適格としては最低の「トリプルBマイナス」とした。さらに、今後の経済状況についても「ネガティブウォッチ」とし、悲観的な見通しを示した。もし、ロシアが次に格下げされた場合、ロシア国債は「ジャンク債(投資不適格)」となり、事実上、国際債券市場での(つまり海外投資家からの)資金調達が不可能となる。

また、今後、ロシア国債の格付けの低下の影響は、ロシアの民間企業が発行する社債の格下げにも波及していくことは想像に難くない。そうすると、ロシア向け債権は債券だけではなく融資も含めて評価替えをする必要が出てくるため、場合によってはロシアに対するエクスポージャーの高い金融機関(特に欧州金融機関)で不良債権が拡大する懸念がある。最悪の場合、これは欧州の金融危機に波及する懸念もある。

ところで、今回のロシア経済の困窮は、ウクライナへの侵攻に対する欧米諸国の経済制裁の影響と原油価格の低下によるところが大きい。その中でも昨年12月から急激に進行した原油価格の低下は、輸出の約7割をエネルギー関連製品が占めるロシア経済にとっては致命的である。

ロシア経済の危機はこれにとどまらない。ロシアの通貨であるルーブルの下落が著しいためだ。現在(1月13日時点)のドル/ルーブルの為替レートは1ドル=65.3637ルーブルである。これはリーマンショックが起こった2009年平均の1ドル=24.855ルーブルから実に263%の下落である。このような通貨下落が、インフレ率を急激に上昇させている。昨年12月時点でのCPI(消費者物価指数)は前年比+11.4%と急上昇中である(昨年1月は同+6.1%であった)。

このような原油安と通貨安による外貨獲得能力の低下は、ロシアの抱える対外債務の支払いを滞らせる懸念がある。2013年末時点でのロシアの対外負債残高は1兆3,436億ドル、このうち、返済負担が小さい直接投資を除くと7,772億ドルとなる。

一方、ロシアの外貨準備は5,096億ドルである。つまり、ロシアは2003年以降、外貨準備を積み上げてきたものの、対外負債の返済に十分な外貨準備を保有しているとは言い難い。これは2013年の数字であるが、2014年はロシア政府の為替介入もあり、外貨準備が減少している可能性がある。

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