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エイズ治療薬、高速光ファイバー、MRI・・・青色LEDに続いてノーベル賞は今年も日本人の手に!
2015年まるごと完全予測 景気・株・円安・会社こう動く! その7

3Dプリンターの考案者も

「近年のノーベル賞は実際に社会で役に立っている製品開発に対しても、賞が与えられるようになってきている。これは応用研究が得意な日本人にとってはチャンスだと言えます」(『知っていそうで知らないノーベル賞の話』の著者・北尾利夫氏)

昨年の青色LEDでの受賞に続き、今年も日本人のノーベル賞が期待大だ。なかでも本命視されているのが、「生理学・医学賞」。

「熊本大学の満屋裕明教授(64歳)に期待しています。'85年、アメリカ国立衛生研究所に在籍していたころ、世界初の抗HIV薬『AZT(アジドチミジン)』を発見してから、次々と新薬を開発し、計4つのエイズ治療薬を世に送り出しました。これによりエイズの死者数はピーク時に比べ30%以上減り、『死に至る病』から、『感染しても発症を抑えることができる病気』へと変わった」(サイエンスライターの佐藤健太郎氏)

科学者の間では、医薬品の開発でノーベル賞を取るのは難しいとされており、この半世紀で授賞されたケースは一度しかない。薬は何十年後に思わぬ副作用が判明したり、有効性が低いことが分かったりするため、評価が難しいのだ。ただ、満屋氏の研究による人類への貢献は計り知れず、慣例を覆しての受賞は大いにありえるという。

長年にわたり、下馬評に上がり続けている科学者もいる。東北福祉大学特任教授の小川誠二氏(80歳)だ。医療の現場で広く使われている「fMRI」の基本原理を発見した。

体の輪切り画像が撮影できるMRIは、患者を傷つけることなく体内を見ることができ、予防医学や解剖学など様々な分野に貢献。小川氏はそれを更に進歩させ、血流を利用して、脳のどの部分が活動しているのかを目で見える形にした。つまり、それまでのMRIで見えるのは脳の「構造」のみだったが、fMRIでは「活動」まで見えるようになったのだ。

「この技術は脳科学や心理学の研究ツールとしても重要で、精神病や発症前の病気の診断への活用も進んでいます。過去に35名の受賞者を当てているトムソン・ロイター社の予想にも以前から挙げられており、極めて有力な候補者です」(前出・佐藤氏)

日本人の受賞者が最も多い「物理学賞」にも、新たな候補者がいる。

東北大学教授の中沢正隆氏(62歳)は、「エルビウム添加光ファイバー増幅器」を開発し、世界中の情報通信に革命をもたらした。

現在のインターネットや携帯電話は、光を使った通信を主流としている。しかし、光は距離が離れれば離れるほど弱まってくるもの。それまでは光を一度電気に変換、増幅してから再度光に戻すという手段をとっていたため、効率が悪く、光海底ケーブルなど、長距離で使用する際は大きな障害となっていた。