「マイルドヤンキー論」に見るNHKの報道姿勢---公共放送として検証の手間を惜しむべきではない!
「おはよう日本」HPより

流行を作れなくなったマスコミ

10代、20代の方には信じられないだろうが、かつて日本にはマスコミが流行を作ることができてしまう時代があった。たとえば、テレビ局が映画を作り、それを自社のCMや番組内で強力に宣伝すると、その映画はほぼ例外なく大当たりした。作品の質は二の次で、今では出演者すら触れられたがらない凡作すら記録的ヒットを達成した。1980年代のことだ。

半面、当時はマスコミが情報を伏せると、それは世の中に存在しないことにできた時代でもあった。一例は84年の「グリコ・森永事件」におけるハウス食品工業への脅迫である。江崎グリコや森永製菓などが犯人に狙われた後、ハウスも脅されて現金を要求されたが、その際、警察側と新聞協会加盟社(テレビ局も加盟している)、雑誌協会加盟社との間で報道協定が結ばれると、約1ヵ月間にわたって、世間に事件の情報は伝わらなかった。

もちろん今は違う。マスコミが無理に流行を作ろうとすれば、ネット上ですぐ仕掛けが暴かれてしまう。マスコミが作り上げた美談の人の実像もネット上でたちまち広まる。

報道協定も難しい時代になった。2011年、熊本市で3歳の女児が連れ去られ、遺体となって発見された事件の際に、熊本県警は当初、女児の生命に危険がおよぶ可能性があるとして、報道協定を検討したが、既にネットを通じて事件の情報が広く流れていたこともあり、断念した。あれから3年以上が過ぎ、ネットはより普及したので、報道協定は風前の灯だろう。

マスコミが流行を作れなくなったり、報道協定が難しくなったのは、やむを得ない。時代の流れには誰も逆らえないのだから。にもかかわらず、いまだに大量宣伝や情報の誘導でヒットを生もうとしている様子が一部で見受けられる。たぶん、年配の経営陣の発想だろう。もはや奏功することはないはずだ。

2014年の新語・流行語大賞における年間大賞に選ばれた「ダメよ~ダメダメ」(日本エレキテル連合)と「集団的自衛権」も、マスコミの思惑とは無縁だった。トップテンに入った言葉もスポーツ界において流行した「レジェンド」や「カープ女子」など、自然発生的なものが目立った。

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